日本の英語教育 (岩波新書 新赤版 943)

著者 :
  • 岩波書店 (2005年4月20日発売)
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【内容紹介】
 ■学校は本当に「英会話中心」でよいのですか■
 経済のグローバル化にともなって、コミュニケーションの道具としての英語の重要性はますます大きくなりました。「英語の時代」ともいうべき今、英語教育をどのように取り入れるかは、世界各国で大きな問題となっています。「これからはなんといっても英会話を教えなくては」という声もよく耳にするのではないでしょうか。
 日本でも、文部科学省は「英語の時代」に対応すべく、近年相次いで施策を打ち出しました。「『英語が使える日本人』育成のための戦略構想」(2002年)がその一つ。もう一つは小学校教科への英語教育の導入です。
 しかしこの二つの「政策」は、本当に日本人の英語力の向上につながるのだろうか。いや、そもそも「英語力」とは何かということについての明確なビジョンはあったのだろうか。そうした根本的なところから著者は日本の英語教育を問い直していきます。
 静かな語り口で、理詰めに繰り広げられる(実は)過激な批判は、痛快ですらありますが、そこから私たちは、明治以来、日本人は英語(外国語)にどのように向き合ってきたか、という自画像を見て取ることができるでしょう。「受験英語」「英会話重視」などのやや手垢のついたことばも、どこに問題があるのかが明確に語られます。
 学校教育というすべての日本人がかかわる場で、英語をどうするのか、英語教育はどうなるのか、著者と一緒に考えていただければと思います。(新書編集部 早坂ノゾミ)
https://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0504/sin_k227.html

【著者紹介】
山田雄一郎氏は1945年広島県生まれ。1970年広島大学大学院修士課程修了。シドニー大学、レディング大学で外国語教育学を学ぶ。現在、広島修道大学教授。専攻は言語政策、英語教育学。著書に『外来語と小説』(広島修道大学総合研究所)、『言語政策としての英語教育』(渓水社)、『英語教育はなぜ間違うのか』(筑摩書房)ほかがある。


【簡易目次】
はじめに [i-iii]
序章 転換期を迎えた英語教育 001
第1章 英語時代の到来 023
第2章 日本に言語政策はあったのか 063
第3章 英語と義務教育 105
第4章 英語教育の構造 149
終章 英語帝国のかなた 195
あとがき 223

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 370.教育
感想投稿日 : 2015年6月16日
読了日 : 2015年6月26日
本棚登録日 : 2015年6月16日

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