怒りについて 他二篇 (岩波文庫 青 607-2)

  • 岩波書店 (2008年12月16日発売)
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感想 : 45
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ストア派の哲学者セネカの「怒り」に関する論考。

なるほど、これはいわゆるストイックというイメージにふさわしい「怒り」論だな。

ある意味、過激なまでのストイックさに恐れをなしてしまった。その分、読み物としては、思考を揺さぶる力をもっている。

この議論のある種の「過激さ」は、本物なのか、あるいはレトリックなのかというのも、ちょっと興味のあるところ。

セネカは、ローマの皇帝に近い上流社会に生きていて、最終的には肯定のネロに命令されて自死することになるわけだが、ある種の公共的な劇場空間のなかで、自己をどう演出するか、どうストア派的な言説を徹底するかというほうに向かっていたのかもしれないという感じもしなくもない。(解説もややそういうニュアンスで書かれている)

一見、なるほどと思わせるだけのインパクトをもちつつ、でもどうなんだろうか?と人を思考に誘っていく、そんな哲学の本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年2月18日
読了日 : 2023年2月8日
本棚登録日 : 2023年2月18日

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