「まんが パレスチナ問題」の続編で、その後の10年間(2005~2015年)を描いたもの。
前著と同様、わかりやすい説明で、ニュースなどで断片的に知っていたいろいろな話がつながってくる。
タイトルは「パレスチナ問題」なのだが、内容的には、アラブの春とその後、そして、ISの話が中心。
パレスチナ問題が改善に向かったわけでもなく、こう着状態におち入り、状況が悪化しているなかで、中東問題は、 ISやシリアなどの問題にフォーカスが移っていることをあらためて実感する内容。
パレスチナ問題は、今や、そうした中東問題との関連においてしか語ることができないようだ。
一時は、希望に思えた「アラブの春」も、その後の混乱のなかから生まれるのは、内戦状態であったり、独裁的な政権の復活だったり。。。。
独裁者を倒せば、なんらかの民主的なプロセスが生じて、より平和で自由な体制が生じる、という期待は、なんども打ち砕かれる。
最初は正義の人も政権にながくいると腐敗して、結局は独裁政治になってしまう。そして、体制を維持するために秘密警察や軍隊の力を使うようになる。
権力は腐敗する。絶対権力は絶対的に腐敗する。
という言葉をまた思い出してしまう。
そして、中東からの難民の増加は、ヨーロッパの混乱を招き、多民族に対する不寛容さをさらに強めてしまう。そして、ヨーロッパ社会から阻害された若者が、テロリストとしての訓練をうけて、ヨーロッパでテロを引き起こし、それがさらなる不寛容さを高める、という悪循環。
この循環をかえるレバレッジポイントはどこだろうか?
- 感想投稿日 : 2019年3月21日
- 読了日 : 2019年3月21日
- 本棚登録日 : 2019年3月21日
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