初出は1873年。原題は…と書こうとしたら、フランス語だった。あれっ、ヴェルヌはフランス人なのか!知らなかった。
高野優訳。
主人公のフォッグ氏はイギリス人の典型的紳士。典型的、というが、作者がフランス人であることからすると、外国人からみた「典型的イギリス紳士像」なのかもしれない。私にはあまり微妙な差異はわからないのだが。
毎日きっかり、同じ時間に家を出て、《改革クラブ》で新聞を読んだりトランプのホイストをして過ごし、同じ時間に帰宅するフォッグ氏。
1872年の10月2日、新しい召使い、フランス人のパスパルトゥーがやってくる。時間に正確で几帳面な主人に安心したパスパルトゥーだったが、同日、フォッグ氏はクラブのメンバーと、80日で世界一周ができるかどうか、大金の賭けをして帰ってくる。そしてほんの少しの荷物だけを持って、いきなりパスパルトゥーと旅立つのだ。
いつも冷静沈着、成功に自信を持つフォッグ氏だが、旅にトラブルはつきもの。
しかもフォッグ氏のことを五万ポンドの強盗犯と勘違いしたフィックス刑事が執拗に追ってくる。
インドでは電車が途中までしかできてなかったり、象をぼられたり、サティで殉死させられそうな夫人を助けたり、インドで寺社を冒涜したとして捕まりかけたり、香港でパスパルトゥーがアヘンを吸わされて船の時刻までに戻って来れなかったり…
とまぁ、色々なことが起きる。
これがねぇ、当時のイギリス統治下の植民地だったり、交通事情だったり、イギリス人フランス人の性質や習慣だったり、うかがい知ることができるのが面白いんですよ。
さて、香港で横浜行きの船に乗り遅れたフォッグは、別便をチャーターして寄港地の上海まで追いかけるも、目前で出航してしまい…というところで下巻へ!
日本では一体どんなトラブルが起きるのでしょう?
- 感想投稿日 : 2024年3月11日
- 読了日 : 2024年3月11日
- 本棚登録日 : 2024年3月11日
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