Z1それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫 A 145)

著者 :
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感想 : 80
4

約25年ぶりに読んだ一作目。
那須さんは私の子供時代の御三家作家の一。
那須さんのお名前は信頼のブランドだ。

小学生のときに出会ったズッコケは、八割読んだところで大人になり、二十代で仕事をやめて時間ができてから、残る数冊を読んでコンプリートした。どこから読んでもいいのもありがたい。中年シリーズも読んだ気がする。
今夏、久しぶりに読みたくなり、好きだった忍者編を読んだので、今冬は原点に戻って一作目を手に取った。
(実家にポプラ文庫のズッコケが全巻あるから、今後は帰省のお供になるかも)

感想としては、一作目から本当に完成度が高くて、大興奮。
キャラクターも世界観も完成しているし、那須さんのストーリーのメリハリの付け方が巧くて、読んでいると心地よくてやめられなくなる。依存症のようだ笑。

一作目の特徴は、シリーズ唯一の短編集だということ。
それも、一編ずつを膨らませて長編になりうる面白い作品ばかり。
読み味は、長編ズッコケを何冊か読んだときと、あまり変わらない。

とくに、怪談ヤナギ池、立石山城探検記、ゆめのゴールデンクイズは、ドキドキはらはらと楽しく読ませてもらった。
クイズのときの、ハカセの決め台詞は最高ですね!!
ラストシーンのタイトル回収にもニンマリ。


なぜこのズッコケシリーズがこんなに子供たちの心をとらえるのだろう。
巻末の神宮輝夫さんの解説を読んで、得心することが多々あった。
那須さんは本当に、子供のために本をかいておられた。
かつて、インタビューで、那須さんが「読書を、教育と結びつけてしまうのは、嘆かわしいこと」という意味のことを話しておられたのは、そういうことだろう。
教訓ゼロ、徹底的に、子供のための子供の本を作ることに、那須さんは全力で取り組んでこられた。
那須さんのおられないこの世は寂しいけど、ズッコケシリーズをはじめとするとにかく面白い本たちを読めば、その根底にある反骨の心を感じとりながら、芯から楽しい時間をいつでも保証してもらえることは、私たちにとって幸福だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月31日
読了日 : 2021年12月31日
本棚登録日 : 2021年12月31日

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