廃墟に乞う (文春文庫 さ 43-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年1月4日発売)
3.21
  • (28)
  • (176)
  • (297)
  • (80)
  • (14)
本棚登録 : 1634
感想 : 227
3

第142回直木賞受賞作品
でも、ちょっと物足りない
短編連作の警察小説です

ストーリとしては、PTSDとなった刑事の仙道が休職中にプライベートとして携わる6件の事件の物語
ドンパチはありませんが、一つ一つの事件の裏側にある人間臭さ、どろっとしたところ、ほわほわした仙道が明らかにしていきます。

■オージー好みの村
ニセコで起きた殺人事件。その容疑者としてあるオーストラリア人があげられます。その容疑者の容疑を晴らしてほしいという女性の願い。
殺人事件の真相と、このオーストラリア人が守ろうとしていたものとは?
そして依頼人の想いとは?

■廃墟に乞う
13年前の事件と同様の手口でデリヘル嬢が殺害。
容疑者は13年前の犯人。
その容疑者の過去、住んでいた町を訪ねる仙道
そして、今回の事件の結末は?
このストーリはあまり好みではありません

■兄の想い
漁港で起きた殺人事件。
容疑者の兄が事件の真相解明を依頼
容疑者は手は早いが、凶器で殺害するような人物ではない。
その場でいったい何があったのか?
これは哀しい物語ですが、好きな部類の物語

■消えた娘
失踪した娘を探してほしいという依頼
娘の遺留品は死んだ婦女暴行犯の部屋で発見されます。
娘はどこにいるのか?すでに殺されているのか?
このストーリはちょっといまいち

■博労沢の殺人
牧場のオーナーの遺体が自宅寝室で発見
様々な人から恨まれていた被害者
犯人は身内か?外部か?
その真相は?といった展開です。
これ、ちょっと動機が読み取れなかった。

■復帰する朝
仙道がPTSDとなってしまった事件が明らかに
一方で、妹が参考人として召集されている事件で妹を守ってほしいという依頼
妹を調べるうちに明らかになる真実
そして、姉の依頼の真の意味
この物語が一番好きです。

それぞれの事件の背後にある人間関係と闇
ハッピーエンドとなる物語はありませんので、読み進めるとちょっと気分が暗くなる(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2021年5月29日
読了日 : 2021年5月29日
本棚登録日 : 2021年5月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする