言わずもがなタイトルにある「上級国民」と言う単語は、池袋で元高級官僚が起こした事故からきている。
先日読んだ「無理ゲー社会」と被る部分は多い。
現代社会は、上級国民/下級国民、正社員/非正規、モテ/非モテなどの分断社会である。
面白かったところをいくつか。
・団塊の世代を守る
平成は、団塊の世代の雇用を守る30年
バブルが崩壊しようがリーマンショックがあろうが、正社員の割合は変わらなかった。
割を食ったのが若者で、職にあぶれ、非正規雇用に流れていった。
正社員を過剰に保護し、労働市場に流動性がなくなる。
会社は「いったん入ったら出られない」タコツボと化してしまう。
これにより新卒でたまたま入った会社の業績という「運・不運」で人生が左右されてしまう。
平成が終わり、団塊の世代が労働市場から退場したため「働き方改革」が進み始めた。
令和は、団塊の世代の年金を守る20年になる。
年金問題が改革されるのは、団塊の世代がこの世から退場してからとなる。
・アメリカは黒人とプアホワイト(白人なのに貧乏)の対立
アメリカには、アファーマティブアクションと言う制度がある。
たとえば医学部の入学試験では、黒人は白人やアジア人よりも低い点で入学できる。
これはアメリカ国民の周知の事実。
そのため重篤な病気にかかった際に、黒人医師は避けられる。
黒人患者ですら黒人医師を避けるのだとか。
実力で医師になった黒人は災厄以外のなにものでもない。
そして、プアホワイトは自分たちも貧乏だと言うのに、白人であるがため一切優遇されない。
ここに対立があるのだとか。日本にも似た構図がある。
・ベーシックインカムが破綻する理由
世界には年収8万円で生活できる国もある。
そんななかで、日本がベーシックインカムを導入し、「日本人」であれば無条件に月額20万円が支給されるとする。
現在の日本の法律では、日本人から生まれた子供は無条件で「日本人」として認められる。
日本男性が海外で婚姻し、子どもができた場合、大使館・領事館に提出するだけで子どもは日本国籍がもらえる。
アフリカなどの新興国で、女性は生涯に10人前後の子どもを産む。
そんな女性が日本人男性と結婚して、子どもを10人産めば、年収2400万円になる。
そうなれば男は海外で子どもだけ作り、楽して暮らそうとするだろう。
こうした事態を避けるには「日本人」を厳密に定義する必要がある。
しかしこの考えは「優生学」そのもので、世界から人種差別国家とみなされてしまう。
- 感想投稿日 : 2023年5月29日
- 読了日 : 2023年5月26日
- 本棚登録日 : 2023年5月3日
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