元写真週刊誌の専属カメラマンがフリーとなり、殺人事件のゆかりの地を巡り、関係者に話を聞く「巡礼」の書。
気持ちの良い秋の休日一日を使い、とても気が滅入る読書経験を得た・・・。
ほとんどの事件が貧困、悲惨なもしくは特異な生い立ち、時代背景、差別が下地となっていることが語られる。
「犯罪者を擁護するために旅を続けたのかと、怒りの言葉が飛んでくるかもしれない。その言葉も甘んじて受けよう」と筆者は後書きで書いている。
僕も読んでいて、なんというか、鬱々とした気分になり、その原因を突き詰めれば、自分自身も彼らが事件を引き起こした背景である社会を構成する一員であるという「責任」を感じるからだろうという考えにたどり着く。
また、この本に載っている事件に限らず、テレビで観る、犯罪を犯した人が、自分とは異なる、明確な境界の向こうにいるとはとても思えないのである。
そう思える人が世の中の大部分であるということに困惑するぐらい。
この本を読んで感じる息苦しさは、そんなところにあるのかなあと思う日曜の夜。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年11月12日
- 読了日 : 2017年11月12日
- 本棚登録日 : 2017年11月12日
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