『ザ・ギバー』の続編かと思った。原題全然ちゃうやんけ!! 出版社だか訳者だかのあざとさにはほとほと呆れるけれども、これはこれで、やさしくて繊細ないいおはなし。
原題にもなっている「ゴッサマー」とは蜘蛛の糸(遊糸)のことなのだそうだ。やさしい言葉で丁寧に紡がれた物語は、それこそリトレストのゴッサマーの手つきを思わせる。
悪夢をもたらすシニスティードについてはあまり語られていないが、人間の負の記憶に「のめり込んでしまう」ことがドリーム・ギバーを闇オチさせるようだ。人間の世界でも同じかもしれないな。たとえばロイス・ローリーのような児童文学作家みたいに、他人に夢を与えようとする人は、人間の悪いところばかりを見つめるのではなく、善い部分を信じ続けるべきなのだろう。
ジョンが父親にドッグフードを食べさせられた過去を告白するシーンが印象的だった。ジョンは「自分が悪い」と言っていた。そうか、ジョンは自分のことを好きになれないから、他人を大切にできないんだな、と。
【メモ】
・蜻蛉日記=The Gossamer Years
原題:GOSSAMER
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー:海外
- 感想投稿日 : 2013年6月29日
- 読了日 : 2013年6月28日
- 本棚登録日 : 2013年6月28日
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