多作なのに、パターン化しないと言われているだけあって、どの作品も真っ白なところからはじまってそれぞれの個性を持ってできあがっているような、大粒感のあるショートショートばかりでした。昭和の時代に活躍したひとには、たとえば手塚治虫さんのようなやっぱり多作の人がいる。そういう時代だったのかなあ。現代は作りこむことに時間をかけている。つまり、深さや広大さ、緻密さに時間をかけている。ゆえに、手塚さんや星さんのように多作のひとってでてこない。今読んでみてもとてもおもしろいのだから、これら昭和の時代の多作のなかで生まれたものが、現代の凝ったものと比べて劣っているものだということはないでしょう。ファーストフードがはじまった時代のものでもあるから、インスタントなもののように、表面的にしか知らないひとは考えるかもしれませんが、さきほども書いたとおり、そうではなく、しっかりした醍醐味を感じさせてくれるんですよ、それぞれの作品が。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年1月20日
- 読了日 : 2017年1月20日
- 本棚登録日 : 2017年1月20日
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