思いわずらうことなく愉しく生きよ

著者 :
  • 光文社 (2004年6月19日発売)
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感想 : 234

(以前に読んだので記憶違いがあるかもしれない)

出てくる男性はロマンティストが多い。
女性はリアリスト。

女性の容姿については説明がない。
思い思いの魅力的な女性を思い浮かべて欲しいとの願いだろう。
言うなれば女性の代弁者としての三姉妹と母、そして
そこに関わる女性たち。
と受け止めていい。


実際この小説がそうだと言うよりも現実に男性はロマンティックで
女性のほうが現実主義だ。

この小説は三姉妹と母を中心に女性が自由に生きるには
あんまり楽じゃないことを示唆してる。

特によく稼ぎよく遊ぶ次女・治子は女性に疎まれて陥れられる。
そして最愛の熊木と別れることになる。

熊木が治子の不貞を意に介さなければ問題はなかったが
そうはいかなかった。
大抵の男は熊木のように落胆し別れを考えるだろう。

それに治子が熊木どのように愛し、どれほど愛していたかは
態度には出ていても丁寧な説明はなかった。
そしてその説明があったとしても熊木は別れていたろう。

唯一、治子と熊木の関係が上手くいくとするなら
熊木が治子の性生活に全く頓着しない事だった。
それはかなり難しいことなので、劇中も関係が破綻した。

(TV版ではよりが戻るが、もう治子が浮気をしないも
熊木が何を許したのかもよくわからない形で終わっている。)

原作では三女・育子だけがハッピー・エンディングだった。
しかし最初から最後まで観察者というスタンスは変わっていない。

(TV版では恋慕する)

男性の態度について
心も体も興味があって興味のままに
関係を重ねるという、クールな三女。

イージーであったり自堕落な男との、自由な関係が多い。
真面目でかしこまった男との出会いに
次第に変化していく。
それも手順を重ねるという男の律儀さに興味が惹かれているだけで
恋をするかはまだ先の話のようだった。

次女治子は運がなかった。
三女育子は運が良かった。
運が良かったから新しくとても興味をそそられる男性と知り合えた。
(ちょっと運が悪ければ浮気相手と出くわしてご破算になりそうだった)

次女治子はその奔放さは三女と大差ないが、浮気相手の奥さんに憎まれ、
陥れられた。
三女育子もいずれはそうなるかもしれない。そうならないかもしれない。
ただ、今はうまくいっている。

この小説の主題はタイトル通りだけど
示されているのは、それほど上手くいかないという現実。
だからといって避けようと言いたいわけでもないだろうし
どうにかしたい、どうにかしようと言いたいのだと思う。

男のロマンティシズムを面白いとも可愛いともおもいつつ
結局それを裏切ってしまうから男は離れる。
そこを見越してあまりその辺に重きを置かないことが肝要なんだろうね。

これは女と男を入れ替えても同じ事になるのだろうか。

リアリストとロマンティストのせめぎあい。
そして規範意識を何処まで取り入れるか
自由に振る舞うのは何処まで取り入れるか。

支配と被支配。
セックスをどう扱うか。
自由と束縛。
感情の変化と肉体の変化。

話せばわかる。とはなかなかいかない恋愛と人間関係。
僅かな希望は未来があることだけど
本当にそれが希望かというのもその人次第で、その時次第だと
物語はいう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年9月21日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年9月14日

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