生きる

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年1月29日発売)
3.59
  • (8)
  • (15)
  • (14)
  • (1)
  • (3)
本棚登録 : 103
感想 : 18
4

三部の短編からなる時代小説。短い文章の中に”生きる”事の意義や本質を見事なまでに描き切っている。武士の矜持という一言では言い表す事ができない。共通のテーマは家庭を省みず役目に没頭する役人の末路を描いている。物悲しい終わり方ではなくすがすがしい気持ちになれる。文中に出てくる死期を迎える妻の一言。「何を幸せに思うかは人それぞれ。例え病で寝たきりでも日差しが濃くなると心も明るくなるし、風が花の香りを運んでくればもうそういう季節かと思う。起き上がりその花を見ることが出来たらそれだけでも病人は幸せ。」。一流の時代小説作家の表現は心にぐさりと響く!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2012年4月22日
読了日 : 2012年4月22日
本棚登録日 : 2012年4月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする