国商 最後のフィクサー葛西敬之

著者 :
  • 講談社 (2022年12月14日発売)
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感想 : 16
3

著者はどういうスタンスでこの本を書いたのだろう
取材を積み重ね、淡々と、国鉄時代から亡くなるまでの葛西を
追い続けている。JR東海のドン。安倍菅の盟友。

オーナー社長の出世物語は読んでいてワクワクするが、
こうした、政権に密着、癒着した人物の武勇伝?は面白くもなんともない。

葛西は中曽根政権下の国鉄の分割民営化に功績を残したという。
田中角栄は大反対だったという。
田中が正しかった。
北海道、四国は死にかけている。
というか、地方が切り捨てられている。
つながっていてこその鉄道。
新幹線が通って第三セクターになって本数が増やせず、、、
肩や新幹線はトンネルばかりで旅の醍醐味などまるでなし。
このうえ大深部を通るリニアに何の意味があろうか。
葛西のリニアへの執着も意味不明だ。

少子化は先進国の常とはいうが、
今の日本人の生活はもはや先進国のそれではない。
五公五民で国民から搾り上げ、その公金を意味不明なものにつぎ込む。
つぎ込む過程で公益法人の天下り役人が潤う。世襲議員が地盤を強固にする。
その結果の、若者のテロとしての少子化ではないか。
日本人を殺すことはないが、日本人を生まないのだ。同じことだ。
数十年先には日本人は人口五千万を切るという。
その形に合ったシステムにすればいいものを、それもしない。
今まで通りのやり方で、今まで通りに甘い汁を吸おうとする。

この本の主人公もその仲間の一人と思うと、
読んでいて楽しくなかった。つまらなかった。
こういう場合は本をどう評価すればいいのか。

著者の取材努力、文章力は優れているが、
テーマ、対象がつまらない。

やはり本としてはつまらん、ということになるかな。



国策づくり
鉄道人生の原点
国鉄改革三人組それぞれの闘い
「革マル」松崎明との蜜月時代
動労切り
ドル箱「東海道新幹線」の飛躍
安倍政権に送り込んだ「官邸官僚」たち
首相官邸と通じたメディア支配
美しい国づくりを目指した国家観
リニア新幹線実現への執念
「最後の夢」リニア計画に垂れ込める暗雲
覚悟の死
国益とビジネスの結合

・政策は小料理屋で動く
・靖国神社総代と日本会議中央委員という役割
・国鉄改革三人組それぞれの闘い
・「革マル」松崎明との蜜月時代
・覆された新会社のトップ人事
・鉄パイプ全身殴打事件
・ばら撒かれた「不倫写真」
・頼った警察・検察とのパイプ
・品川駅開業の舞台裏
・名古屋の葛西では満足できない
・安倍総理実現を目指した「四季の会」
・メディアの左傾化を忌み嫌う理由
・傀儡をNHKトップに据えた
・「菅さまのNHK」
・安倍政権に送り込んだ「官邸官僚」たち
・池の平温泉スキー場の「秘密謀議」
・杉田官房副長官誕生の裏事情
・政治問題化したリニア建設計画
・JR東日本とJR東海の覇権争い
・安倍と葛西で決めた「3兆円財政投融資」
・品川本社に財務省のエースが日参
・「最後の夢」リニア計画に垂れ込める暗雲
・JR東海の態度に地元住民が激怒
・「リニア研究会」という名の利権
・安倍晋三への遺言
・大間違いだった分割民営化
・国士か政商か
・覚悟の死

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月7日
読了日 : 2023年6月7日
本棚登録日 : 2023年5月29日

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