短篇というより中篇といったボリュームの作品を7つ所収。
疾走感のある饒舌な文体は、綿矢りさを男にしたかんじか。
細部はリアルなのに、いつのまにかファンタジーに飛んでってる浮遊感がよかった。登場人物が自分の気持ちをとことん突き詰めて相手に説明しようとするところは、ありえない気がしたけど、面白いからまあ許せた。
高校生の男の子が主人公の『すっとこどっこいしょ』が個人的にはベスト。
とてもチャーミングで、こういう系では朝井リョウを超えてる気も。
あと『真夜中のブラブラ蜂』の主人公の中年女性の、ひとりでどこかに走っていきたくなる気持ちなんかも、わかるなあ。
著者はとても頭のいい人なんだろう。頭のいい人独特の余裕っぽさと世間とのズレ的孤独と、文学的才能(陳腐な言葉だが)がいいかんじに混ざり合ってた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年3月25日
- 読了日 : 2013年3月20日
- 本棚登録日 : 2013年3月12日
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