2020年8月、ネトフリで2回目鑑賞。黒沢監督の代表作ながら、わたしは比較的そんなでも…と思っていたのだが、「何を観ていたのか自分」と猛省している。初見時は『エンゼルハート』と重ねてしまって、それがノイズになって集中して細部を観れてなかったのかな?もしくは前回観たときより煮詰まっていて、登場人物の気持ちがわかるようになったのか?
専門用語がよくわからなくてうまく説明できないのだが、全カット完璧に次ぐ完璧なのでは?なんの変哲もない洗濯機とかシステムキッチンとか扉から、明らかにおかしい診察室や警察内、バスの外の景色まで、好きな場面の連続だった。
今回凄いなと思ったのは、小学校の先生の妻への秘めた憎悪がたったひとことのセリフで滲み出す瞬間。そこから続く、女医さんの過去の性差別への憤り、ラストのファミレスのウェイトレスさんの苛立ちまで(刑事の妻への憎しみは言うまでもなく)いちいち納得で、自分の近しい人から同じような憎しみをぶつけられるのでは?という不安が真実味を帯びてきて、怖い怖い。そして、期待をはずさない諏訪太朗さんと大杉漣さん…。
これは無粋かもしれませんが、蓄音機の場面、日本語字幕がないとさっぱり聞き取れなかったのに(不気味なノイズとして、そもそも聞き取ろうともしていなかったかも)字幕つけるとそうとしか聞こえなくって怖かった…。『CURE』ってそういうことなのね…。古い映像とか音声がかきたてる恐怖といえば『リング』というイメージだったけど、その前年の作品なんですね。いろいろわかってなかったので、勉強して出直したいです。
- 感想投稿日 : 2020年8月21日
- 読了日 : 2017年11月8日
- 本棚登録日 : 2017年11月8日
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