これまで生きてきた三十年で指針となるような哲学書は「十二番目の天使」「星の王子さま」「アルケミスト」と時代ごとに変遷してきたが(そしてその変わっていくということが自分にとっては嬉しく頼もしいことなのだが)、ついに今現在の自分にとり最も重要な一冊をみつけた。それはまったく意外な書物で、農業についての本だった。ところがこの本はただの農業本ではなかった。「人生に目標も生きがいもない」「人はなにもしないのがこわいのだ」「アートは生活のなかにある」「教育は無用」「労働がすばらしいという病」「全部すてる」「なにもしない」「頭でめしを食うな」「”我思う故に我あり”の大否定」「人間生活に真に密着したものが文化である」「最小の世界に徹底すれば最大の世界が開ける」「”分かる”は”分ける”である」「ただ、”わからない”ということがわかるのみ」。湧水のごとくあふれるインスピレーションを得た。この本に巡り合えて心から感謝する。この本に書かれたことすべてにほとんどの人は納得はしないだろう。そうでなきゃ今の世の中がこうしてできあがっているはずがないから。だけど読んだ方がいい。読んで、ここに書かれたことを体のなかにいちど通した方がいい。ためておいてもいいし、すてても、忘れてもいい。とにかくいちど入れたほうがいい。これは今世紀を生きるすべての人間が死ぬまでに一度は読んだほうがいい最高の哲学書だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月24日
- 読了日 : 2019年9月24日
- 本棚登録日 : 2019年9月7日
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