「性」とは不思議なもので、隠せば隠すほど艶めいて、妖しさを増す。
しかし、あからさまに日の元へ出してみると、これほど滑稽なものもない。
本書はそんな奇妙、珍妙なお江戸の「性」を扱う。
妻の不貞や離婚も多かった武士の家。
女性は「従」の立場でありながら、それを覆したり、逆手に取ることもあったようだ。
「主」である男性はその立場ゆえにそう滅多なことでは不祥事を表沙汰にはできない。
下手したらお取り潰しになってしまうかも......そのため、苦渋の決断をしたものも記録以上であったかもしれない。
文人は文人で前をまくっての大勝負、僧侶は女郎買いという破戒をし......。
読めば読むほど呆れかえる。
男女の間で、男性同士で、本妻と妾の間で、刃傷沙汰になることも、記録に残されてしまうもの、はたまた芝居にまでなってしまうもの。
まこと、浮き世は恐ろしげなり。
しかし、だ。
我々は江戸の人々を笑い、貶めることなどできようか。
平成の世でも、不倫だ、三角関係だ、写真は出回る、梅毒も流行る、100年、200年経って、未来人から同じように思われているかもしれない。
その頃には、社会学、経済学、政治学など多方面から学識的アプローチが加えられているかもしれない。
それはそれで興味深い、かも。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年4月13日
- 読了日 : 2016年12月27日
- 本棚登録日 : 2017年4月13日
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