楽園のアダム

著者 :
  • 講談社 (2021年9月3日発売)
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本棚登録 : 452
感想 : 48
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かつての地球とは異なり、人々は島ごとにコミュニティを作り平和な時代がやってきた。
そのなかの珊瑚礁の島と呼ばれる、知の研究を行う場所に生まれ育ったのは、アスム。
アスムは幼なじみのセーファと共に同じ研究室に所属している。
彼らは、亡くなった助教授が連れてきた「何か」に殺された。
その秘密を探すと共に、彼らの世界の秘密にも触れてしまう。

さて、本書の結末には私はあまり納得もできず、何かが叫ぶ言葉の意味もわからぬままで疑問が残った。
この世界の秘密についてはそうきたか、と思ったのだが。
「何か」がなぜ人々を襲うかという理由は、恐怖に震えるものと、そうでないものをはっきり分けるだろう。
私は前者である。
だから、なぜアスムがそれを納得できるのかはわからないが、研究者としての興味が恐怖に打ち勝ったのだ、と言われれば納得はできるかもしれない。
しかし一歩読み誤ると、少し違ったメッセージにとらえかねない。

楽園はこれからもつづくのだろうか。
世界の真実が明らかになってたとしても、この造られた楽園の常識は、何も珍しいことではない。
哺乳類の研究では珍しいかもしれないが、生物の中にはそれでもうまくやっているものもある。
男女を区分することは、楽園を継続させるのか、それとも……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2022年9月24日
読了日 : 2022年4月9日
本棚登録日 : 2022年9月24日

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