ミス・マープルと13の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2019年1月12日発売)
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感想 : 28
4

はじめまして、ミス・マープル。
どうぞ、よろしく。

安楽椅子探偵と称され、アガサ・クリスティの中ではポワロと同じく人気のあるシリーズだ。
しかし、今までミス・マープルと会ったことがなかった。
感想をごく単純化するなら、面白かった!

最近海外の翻訳でよくお目にかかるのが深町眞理子氏なのだが、深町氏による新訳とのことなので、今まで読んだことがある人も、きっと楽しめるに違いない。
二度、三度と読むことで、トリックへの伏線に気づくことができるはずだ。

さて、本書に収められたもののほとんどは短編で、通勤時間のうち、電車に乗る時間が往復10分程度という私にとっては、片道で一編を読み終えられるのが何よりよかった。

「青いゼラニウム」は以前読んだ、『アガサ・クリスティーと14の毒薬』で語られていた毒が使われていた。
これかあ!と記憶が繋がった瞬間に興奮した。

「コンパニオンの女」「四人の容疑者」など、階級の違いや知識レベルの違いという背景にも興味が湧く。
どれもこれも面白くて、新鮮で、確かにベストセラーになるわけだ、あらゆる探偵小説家、漫画家に影響を与えるわけだ、と納得した。
「刑事コロンボ」「刑事フォイル」(いずれも邦題)といった優秀な刑事とは違う、しかし鋭い観察眼は侮れない。
作中でも、その洞察力ゆえに、次第に周りの評価が変わっていく様子は、勧善懲悪モノにあるような、胸のすく思いがした。
「水死した娘」は、前段階の短編を踏まえての物語なので、安心感と期待の混ざった、そしてその期待を裏切らない作品であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2019年5月1日
読了日 : 2019年4月25日
本棚登録日 : 2019年5月1日

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