秘密に満ちた魔石館2

著者 :
  • PHP研究所 (2020年8月22日発売)
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本棚登録 : 278
感想 : 10
3

『銭天堂』の著者による、宝石や鉱石をモチーフにしたシリーズ。
ふりがなや挿絵もふんだんについているので、小学校中学年以降からおすすめ。

石とは魅力的で、米粒の先より小さな石ひとつでも高額なものがある。
かと思えば河原にごろごろと転がっている石も。
長い年月をかけて作られた石は、魔力のように人を吸い寄せる。
本書ではラピスラズリ、琥珀、トパーズ、翡翠、黒真珠、ダイヤモンドの物語が収められている。

ラピスラズリの物語は、深い海の青、ウルトラマリンを顔料として描いた絵画の話である。
悲しい目をした少女を、徒弟が描く。美しくはにかんだ顔ではないそれは、彼女の本質を表している。
無名作家が現れては消え、しかし作品は後世に残る。
少年が描いた少女の絵は、今もきっと、飛び回っていることだろう。

黒真珠の物語の舞台はフランス。
アール・ヌーヴォー華やかなりし時代を想像した。
かぐや姫のような謎のおおい美しき女性は、貴族の男性たちを虜にするのだが、さて、誰が彼女の心を射止めるのか。
結末で明かされる秘密と、未来を予感させる記述に、短編の面白みが味わえる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2021年2月28日
読了日 : 2021年2月28日
本棚登録日 : 2021年2月28日

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