王様のトリック (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2010年12月15日発売)
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本棚登録 : 400
感想 : 49
3

推理小説といってすぐ思い浮かぶのは、雪山の密室!
なんとか山荘殺人事件といえば、一つくらいは思いつくのでは?
それにアガサ・クリスティを思い出させる一人ずつ殺される、連続殺人事件。
動機は、復讐。
現実世界のように、「誰でも良かった」「死刑になりたかった」「目立ちたかった」ではなく、れっきとした、復讐。
まさに王道を行く物語だが、果たして過去の名作に並べるか?

「ドクターM殺人事件」、Mのイニシャルを持つ五人が雪山で殺されていくが、なんと、犯人は二人だという。
確率的にはあたりそうなものだが、さて。

感想としては、過去の名作に並べるか、と尋ねられたら、「うーん」。
面白くないわけではないが、意外性があまりない。
伏線をたくさん張ってあるミステリーではないので、後出しジャンケン的な種明かしだ。
ただ、タイトルのつけ方はうまい。

生臭坊主そのものの槇原のキャラクターが、ずっと失礼で横暴で、いけ好かない書かれ方であったが、後半は妙に高僧めいている。
金で動き、他人を見下すような人間が、ギリギリのところでこんなに丸くなるかな、と疑問。

もっと面白くできそうなのに、と言いたいところだが、著者は既に鬼籍だという。
冥福を祈りたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2019年1月19日
読了日 : 2019年1月14日
本棚登録日 : 2019年1月19日

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