五十嵐律人さんローリング4冊目。
今までの作品は全て長編だったが、本作は初の短編。
霞山大学法学部4年で無料法律相談所(略して"無法律")を運営する古城行成と、経済学部3年で自称助手を務める戸賀夏倫のコンビが、各章ごとに起こる難事件を解決していく。
まず、読み始め早々、本作の霞山大学のモデルが東北大学であることが匂う描写がいくつかあり、3章目にあたる『安楽椅子弁護』(大学祭の話)で確信に変わった…!
(東北大学で学祭実行委員をやっていたので、作中出てきたプレハブ、協賛の話、パンフレット作り…全てが懐かしの記憶であり、それらが五十嵐さんの作品の中で事件の土台として描かれていることが、個人的にはとてつもない幸福です)
各章の事件発生から解決までの流れがテンポ良く、古城と夏倫の二人の掛け合いもサラッとしていて小気味良い。法の知識に強い古城と地頭の良さ&勘の鋭さを備えた夏倫、魅力溢れるコンビで、『法廷遊戯』が映画化なら、こちらはドラマ化されそうな予感…。
また、見開き2ページの幕間(古城によって語られる家族の話や進路の悩み等)が、物語に彩りと厚みを加えていて、とても良かった。
短編なので、長編苦手という方には、是非お勧めしたい作品。本作から五十嵐さんのミステリー作品の魅力に触れて欲しいなぁ…と思います!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(ミステリー)
- 感想投稿日 : 2023年9月26日
- 読了日 : 2023年9月26日
- 本棚登録日 : 2023年9月14日
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