ZOO 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2006年5月19日発売)
3.65
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本棚登録 : 14592
感想 : 1316
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SNSで知り、評価も高かったので読んでみた。

短編5つがまとまった作品だったが、正直なところ個人的にはあまり刺さるものがなかった。
ホラーやSFを読み慣れていないのも原因かもしれないが、作者が伝えたいことがいまいち掴めず。例えるなら、国語の教科書で読んだ小難しい文学作品に対し、作者の意図が問われているような、どこか試されているような感覚(ちなみに学生時代、それ系の選択問題は全外ししていたタイプ。笑)

収録作品は以下の5つ(完全ネタバレ要注意)
①「カザリとヨーコ」
双子の姉妹でカザリは溺愛され、ヨーコは虐待される日々を送る。ある日の夕方、カザリとヨーコが服を入れ替えて帰宅したところ、二人を取り違えた母がヨーコに扮したカザリをベランダから突き落として殺してしまう。
双子でも流石に親は間違えないだろう!とつっこまずにはいられないのと、めちゃくちゃ怖いかというとそこまででもないし、何が言いたいのかよくわからなかった。

②「SEVEN ROOMS」
謎の犯人に拉致監禁された姉と弟。姉弟の部屋と合わせて7つの部屋があり、そこでは1日1人殺害される。ついに姉弟が殺される日が到来。姉が犯人を唆している間に弟だけ脱出する作戦に成功。犯人が何者なのか、なぜ監禁されたのかもわからないし、姉は殺されてしまう為、ハッピーエンドでもない。やはり、作者が何を伝えたかったのかよくわからなかった。

③「SO-far そ・ふぁー」
ある日突然、父には母が、母には父が見えない状況になってしまい、ぼくは父と母の会話の連結役となる。そして、ぼくを板挟みとした大きな夫婦喧嘩をきっかけに、母の世界で生きることを決めた結果、父の姿が見えなくなってしまった。
てっきり、両親を事故で失ったぼくが、幽霊になって現れた両親と生活しているのかな?と思いきや、実はこの状況は父と母による演技(お互いが死んだものとして生活する)だった。
※それを間に受けた結果、本当に父が見えなくなってしまったというのがみんなの解釈。
最後三行の、"僕なりの解答"(父と母の別れを防ぐ為)が良かった。

④「陽だまりの詩」
主人の死後を埋葬する為に生み出された人型ロボットの私。当初『死』の概念が理解できなかったが、兎の死をきっかけに『死』に対する恐怖心を知ることになる。
SFだけれど、死生観が単調に美しい文章で表現されていて、なんなら4つの中では一番文学作品感が強い印象。読む時の心理状態によって、響くときとそうでもないときが変わりそうな不思議な感覚。普段SFは読まないが、短編でサラッと読めたのが良かった。

⑤「ZOO」
彼女を殺害遺棄した男が、"行方不明になった彼女を探す懸命な彼氏"を自作自演する物語。やっぱりこちらも、男の感覚がよく理解できなくて共感できず…。

評価の高さと自分の感覚がマッチせず、読解力の無さにもどかしい気持ち。
数年後読み返した時に、少しでも理解できるように、人生経験を重ねつつ、もっといろんな作品に触れるよう励みます!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月12日
読了日 : 2023年10月12日
本棚登録日 : 2023年10月1日

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