一日中臥せって、苦痛の抜けかけた朝ぼらけに、少し壁にもたれて起き上がり、残していた「源氏のしおり」を夜明けの薄明かりの中に読んだ。目に留まるのは、登場する女たちの短命さについて、である。
漠然とした魂魄の頼り無さの中にあってこそ感じる、それを包み、繋ぎ留める事象の冷ややかさ、人の身体に宿る温もりと授受の情緒。これを欲する身体性が源氏物語に惹かれているのだなと、病みあがりの、五感の融解した中にあって実感する。
平均寿命だけは、源典侍が引き上げているとは思う。
それもまた情緒である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2016年9月19日
- 読了日 : 2015年2月26日
- 本棚登録日 : 2015年2月26日
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