謙信の軍配者

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年7月1日発売)
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三人目の軍配者の物語のはずが、つかえた相手が摩利支天の加護を得てセオリー無視で戦場を縦横無尽に荒らしまくる謙信なので、主役の軍配師を喰ってしまって、謙信の軍配者ではなく謙信そのものの物語になってしまっている。戦国時代の武将としては、義を重んじ、お固いイメージのある謙信が、義を重んじるということは同じでありながら、純情で単純で、ここまで無茶苦茶な破天荒な活躍をするので、軍配者の出る幕はない。また、戦のあり方も、従来の古式な戦法から、火力の多さを競う時代へのターニングポイントであり、気象や吉兆を占う職能を持っていた軍配者が単なる軍師に変わっていく時代を描いているので、ますます、軍配者の活躍は少なくなっていくのだろう。最後に主人公は古巣の足利学校に戻っていくが、その後は描かれていない。足利学校も戦国時代の終わりに向け衰退していくことになるのだが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年9月9日
読了日 : 2011年9月9日
本棚登録日 : 2011年7月21日

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