個人的に好きなNHKの番組の書籍化第2弾。
テクノロジーの進化によって発生した今日の産業革命は、過去の産業革命と全く性質が違うという発想が面白い。過去に起きた農業から工業への産業革命は、高スキルと低スキルという軸で捉えることができた。そして農業から追われた人たちの受け皿として産業があった。しかしテクノロジーによる産業革命はスキルの有無や学歴の高低関係なく、ルーティンワークが職を追われ不幸なことにそれに対する受け皿が存在しない。言い換えれば高所得のトレーダーや医療従事者でさえ、テクノロジーの発達により代用可能になれば職を失う可能性があるのだ。そしてテクノロジーでは今のところ代用できない、生産性が低く労働力の足りない分野である非ルーティンワーク(美容師、介護士、サービス業全般)は適切な賃金を得ることができず、低賃金で働かなければならない…
他にも、人々は芸術家であることを強いられている、どんなシステムも組織も自身を維持するためには他のシステムを排除しなければならない、など読んでいてワクワクする議論が散りばめられている。
巨人の肩から世界を眺めるとはよく言ったもので、普段生活していては見えない物の見方を教えてくれる良書だと思った。
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- 感想投稿日 : 2021年1月11日
- 読了日 : 2021年1月11日
- 本棚登録日 : 2021年1月11日
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