愛を知らない

著者 :
  • ポプラ社 (2019年6月11日発売)
3.70
  • (32)
  • (95)
  • (57)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 850
感想 : 88
3

合唱祭で「二人の擲弾兵」というドイツ楽曲の伴奏を担当することになった涼。自分に存在価値などないと考えるような引っ込み思案の彼には、遠い親戚の同級生、橙子がいる。
マイペースで身勝手でクラス中から浮いている橙子が合唱のソロパートを歌うことになり、なんとなく避けていた橙子と交流を持つことになった涼は、自分勝手で口の悪い彼女に反発を覚えながらも、次第に距離を詰めていく。

人と人の関係、親子、あるいは家族の関係の脆さと危うさを考えさせられる。
愛を知らないわけではない。けれどうまく愛すことができない。そうやって、もどかしく生きている人は、案外多いんじゃないだろうか。
うまく愛せなかった人を擁護するわけではないけれど、簡単に誰かを責めるわけではない、そんな物語なのだと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: せつなくなる
感想投稿日 : 2019年11月5日
読了日 : 2019年11月5日
本棚登録日 : 2019年11月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする