合唱祭で「二人の擲弾兵」というドイツ楽曲の伴奏を担当することになった涼。自分に存在価値などないと考えるような引っ込み思案の彼には、遠い親戚の同級生、橙子がいる。
マイペースで身勝手でクラス中から浮いている橙子が合唱のソロパートを歌うことになり、なんとなく避けていた橙子と交流を持つことになった涼は、自分勝手で口の悪い彼女に反発を覚えながらも、次第に距離を詰めていく。
人と人の関係、親子、あるいは家族の関係の脆さと危うさを考えさせられる。
愛を知らないわけではない。けれどうまく愛すことができない。そうやって、もどかしく生きている人は、案外多いんじゃないだろうか。
うまく愛せなかった人を擁護するわけではないけれど、簡単に誰かを責めるわけではない、そんな物語なのだと思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
せつなくなる
- 感想投稿日 : 2019年11月5日
- 読了日 : 2019年11月5日
- 本棚登録日 : 2019年11月5日
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