小惑星探査機 はやぶさの大冒険

著者 :
  • マガジンハウス (2010年7月29日発売)
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宇宙予算がアメリカの10分の1の日本が、月以外の星へ探査機を送り、星の物質を回収して地球へ戻ってきた!
その間に起こる沢山のトラブルにも、「はやぶさ」自身が対処したり、管制室で考え出された奥の手プログラムを細々とした通信手段で送ったりして乗り越えた。
アポロ13号では、搭乗している人間が動いてトラブルを解消して地球に帰還したけれど、「はやぶさ」は探査機。
受信したプログラムを忠実に実行し、必死にカプセルを地球に届けようと、たった一人で宇宙をひた走る。
思わず「はやぶさ君」と擬人化してしまう。

私が「はやぶさ」を知ったのは、イトカワに着陸したときに転んだという報道で。
通信が途絶えた状態でも、「はやぶさ」は体勢を立て直そうと、必死にエンジンの噴射を繰り返していたのです。
そこから行方不明になりかけたり、イオンエンジンの不具合で地球帰還が絶望視されたりということもあったけれど、それについては全く知らず、カプセルが地球に帰ってきたという報道で、再び「はやぶさ」に注目するようになりました。
この本を読んでいるうちに、「はやぶさ」は宇宙探査史上、アメリカやロシアにも勝る偉業を達成したことを知りました。

お国の財政が厳しい中、宇宙開発への予算がどんどん縮小されていますが、「はやぶさ」の技術は世界中に誇れるもの。
夢を育むものでもあります。
「はやぶさ2号」が地球から旅立つ日が来ることを願っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2019年1月17日
読了日 : 2011年7月12日
本棚登録日 : 2019年1月13日

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