北北西に曇と往け 4 (青騎士コミックス)

著者 :
  • KADOKAWA (2020年1月14日発売)
4.25
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本棚登録 : 1326
感想 : 34
5

久しぶりに実家に帰り、「七つ屋志のぶの宝石匣」1~16をウキウキ堪能し(← "のだめ" もすごく良かったけど、宝石匣も大好きー)、まだ滞在日数があったので、オタな妹に「私好みのおもしろいの頼む」とオーダーしたらこれが出てきた。

えー 絵が古臭いー 好みじゃないー などとぶつぶつ言っていたのだが、解説に舞台がアイスランド、とあって、おや??と食指がピクリ動いた。
1巻冒頭、荒野に横転したジムニーのドアがガコっと天に向かって開いて、にょきっと主人公が登場するシーン。
それがとても好みで、あとは非常におもしろく読んだ。

まだ4巻までしか読んでいないのだが、とてもユニークな作家だな、と思った。最近は漫画を全然読まないせいでそう思うだけかもしれないけれど、私はすごく新しいと思った。絵は古いんだけど。

まず、巻によって、テーマというかトーンが全然違う。
北極圏の日常ほのぼのエッセイ、なのかと思いきや、アイスランド観光案内になったり、普通のヒーローが出てくるアクションになったり。どれもおもしろい。
そして、この4巻はいきなりスプラッター入ったミステリになる。しかもけっこう怖い。

キャラクターもとても良い。誰も彼も脇役までも独自のポリシーを持って生きていて、生き方が気持ちが良い。悪役すらも。
あと、食べる描写がうまい。
絵がおいしそう、というわけじゃないんだけれど、登場人物たちが何か食べていると妙にそそる。効果音で見せてる感じ?
読んでいて、やたらおなかがすいて困った。
アイスランド料理、食べてみたいー。

それから、不思議だなぁ、と思ったのは、女性の身体の描写が、細部にフェチが入ってねちねちと描かれていて、女性名の作家なのに男目線っぽい描き方だなぁ、と興味深かった。
その一方で、主人公の慧は、思考も体つきもふるまいも経験値も実年齢以上の完全に成熟した大人の男として描かれているのに、性に関することだけ中学生のようなリアクションを取る男の子として描かれていて(年齢設定は高校~大学生くらい?)、そこだけ突然に少女漫画っぽい。
ちょっと違和感。

敢えてそういうキャラ設定なのかもしれないけど、ねちっこい女性の裸体の描写とのアンバランスさが妙に印象的で、一体いくつくらいの年齢の方なんだろう、と私は作家ご本人の心理状態にとても興味ひかれた。

車の声が聞こえる、っていいね。
うちも以前はジムニーで、ずいぶん長く乗って、居住性が最悪だったから私はずっと嫌いだったけど、夫はものすごく愛していた。手入れは全然してなかったけど。
良くも悪くも特徴のある車なので、下取りに出した時はふたりで寂しく思ったし、今もときどき話に出る。
私も声が聞けたらなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2022年4月16日
読了日 : 2022年4月14日
本棚登録日 : 2022年4月16日

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