なんの前知識もなく図書館で借りたのですが、読み始めてすぐ、「げっ、ファルスか!」と思いました。
はっきり言って超・苦手ジャンル。
大学時代、坂口安吾を全部読まなくてはいけなくて、ファルスだけは死ぬほど苦痛だった記憶が蘇る・・・
てなわけで、全然乗れませんでした。
「『現代の古典』として不動の地位」とか「絶対必読の小説100選」に選ばれた、とか訳者あとがきに書いてあったけれど。
もともと、欧米人のExpatライフを描いた小説には、書き手がそんなつもりはなくてもなんとなく現地の人を「未開人」扱いする気配や、物価が安いせいでお金に困らないことを何か優越感でとらえていたりする気配を察知してしまって、正直、あまり好きではない。
特に、アフリカは欧米列強がすべてをめちゃくちゃにしてしまったという考えをどうしても抱いてしまうので、この小説は、フィクションだけど一度たりとも笑えなかった。どっちかっていうと、むっつり顔で読んだ。
冗談通じなくてすみませんね、って感じですかね。はは。
まあそう言いつつも、ディネーセンの「アフリカの日々」はすごく好きだから、書かれているテーマにもよるんだけど。
あとがきを読んで、作者の特派員だった時代の経験がかなり反映されていることに驚いた。
確かに、現地の風景描写などに、見る人の「苦々しい思い」が漂っていて、リアルだな、と思ったが・・・
イーヴリン・ウォーはまったくのダメ特派員だったみたいですね。
すべての中で、あとがきのこの部分だけクスッときた。
訳はかなりイマイチだと思った。
すごく硬直した訳で、時々ビックリした。もしかしたら、外国人が多く登場するので、英語が母語じゃないことを表現するためにこんな直訳なのかな?と一瞬思ったけど、会話文だけじゃなくて地の文もいろいろ変だった。
「彼にとっては、宴会は幸せな晩の娯楽にとって必要な一切のものを満足させるものだった」とか。
「ウィリアムの朝食は、この前のクリスマスツリーの自分の払うべき分を、フラウ・ドレスラーにまだ払っていない、極貧の機械工によって、やがて運ばれてきた」とか。
・・・('Д')? となって、3、4回読み直すはめになりました。
でも、おかげで改めて、最近の翻訳者はみんなすごく上手だな~ってありがたく思った。こういうのに今はそれほど出会わなくなっている気がする。
- 感想投稿日 : 2019年9月13日
- 読了日 : 2019年9月13日
- 本棚登録日 : 2019年9月13日
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