かつてインディオに囚われた経験をもつ語り手の手記という形式をとる本書、読んでいるときにはその異様な物語に目を奪われてしまうが、存在や記憶についての深い思索は読後にじわじわとくる。ボルヘス『七つの夜』の「夢について」を読んだばかりだからなおさらか。静謐な筆致は詩的で河の流れのよう。とりわけ終章の月蝕の描写が美しい。にしても、これだけのことを歴史書のたった14行の記述から発想したというのはすごい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2014年6月19日
- 読了日 : 2013年7月16日
- 本棚登録日 : 2013年7月16日
みんなの感想をみる