存在のすべてを

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  • 朝日新聞出版 (2023年9月7日発売)
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平成3年。
神奈川県厚木市に住む立花敦之という小学六年生の児童が二人組の男に誘拐されます。

神奈川県警に総合指揮本部LIがたてられます。
身代金は二千万円。しかし父の立花博之は700万円しか用意できないと言います。

そうしているうちに、もう一件誘拐事件が神奈川県横浜市で発生します。木島茂の孫の内藤亮4歳が誘拐され身代金は一億円です。
亮の母親の内藤瞳はネグレクトで育児をしていませんでした。

県警の責任者は中澤洋一ですが、内藤亮の母親の瞳の行方がつかめず内藤亮の顔写真が一枚もないのです。
祖父の木島茂が一億円を持って横浜中を犯人に言われるがままに走り廻されます。

県警はこれを二児同時誘拐として県警の捜査能力そのものを低下させ混乱に乗じて身代金を奪おうとしているとします。

しかし、数日後立花敦之のほうは倉庫内で無事保護されます。
そして木島茂が慌てて置いてきた一億円入りのバックは善意の第三者によって警察に届けられます。
二児同時誘拐事件は終わったのです。

そして内藤亮だけが帰ってきませんでしたが、平成6年、七歳の亮が木島家のインターホンを鳴らしたのです。

内藤亮は三年間の間誰かの手によってきちんと生活していました。

木島茂の妻で亮の祖母の塔子は亮がきちんとしつけられているのに気づき「やっぱり生みの親より、育ての親だね」と言います。

そして令和3年に話は移ります。
元刑事の中澤の通夜に弔問したマスコミの門田次郎は二児誘拐事件の被害者内藤亮が如月脩という人気画家になっているのを知ります。

そして『わかば画廊』に勤める土屋里穂もまた内藤亮を探していました。里穂は亮の高校の同級生でした。

二児同時誘拐事件の被害者、内藤亮は四歳から七歳の間誰の手によって育てられたのか…。
そして亮は、今どこにいるのか…。



以下ネタバレ含む感想です。これから読まれる方はお気をつけください。







亮を三年間育てた育ての親は、一体どんな人間だったのだろうかと思いましたが。亮の育ての親との関係には泣かされました。親子以上に(血がつながっていない分)本当の親子でした。
そしてまた、ラストシーンに登場するとあるものにも泣かされます。
亮と里穂もまた幸せになってほしいと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年9月28日
読了日 : 2023年9月28日
本棚登録日 : 2023年8月11日

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