その扉をたたく音

著者 :
  • 集英社 (2021年2月26日発売)
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久しぶりの瀬尾まいこさんです。

29歳で無職の宮路は、老人ホーム「そよかぜ荘」で高一から始めたギターを弾きます。
そこで、宮路は介護職員で25歳の渡部君が吹いたサックスに魅了されます。

宮路は渡部君に「渡部君はこんなところでくすぶっているのがもったいない。一緒にバンドを組もう」と言い出します。

けれど渡部君には全く相手にされず、宮路は「そよかぜ荘」のじいさんとばあさんの水木静江さんに「ぼんくら」「ぼんくら」と呼ばれるようになり、みんなの買い物をしてくるように言われます。

どう考えても宮路はぼんくらです。29歳になって親から毎月20万の仕送りをもらい、ちゃんと仕事をしている人をひっぱりこんでバンドを組もうというのは常識がないとしか普通、思えないですよね。

でも、ばあさんの水木さんはぼんくらと呼びつつも、宮路のいいところもちゃんと見てくれていたのが泣かせます。

「当たり前のように年寄りに聞こえる音量と速度と距離で話せるやつがぼんくらなわけがない」
「毎回へそ曲がりの私の心を射るものを買ってこられるやつが何も考えてないわけがない」

宮路はこれからどう変わっていくのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年6月22日
読了日 : 2022年6月22日
本棚登録日 : 2022年6月22日

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コメント 1件

まことさんのコメント
2022/06/22

ほん3さん。

そうです。宮路は自分だけならまだしも、ちゃんと働いていて、サックスの上手い渡部君にまで、「そんなところでくすぶっていないで、バンドを組もう」なんて、いいかげんにしろ!ですよね。
それだけ、渡部君のサックスが素敵だったんですけど、余計なお世話です。
水木のばあさんの言葉は本当に泣かされました。

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