第36回山本周五郎賞受賞作。
江戸の木挽町の芝居小屋、森田座のすぐそばで、二年前のある雪の降る夜、仇討ちがあり、作兵衛という下男を父を殺された仇だといって菊之助という少年が首をとったのです。仇討ちは人が大勢見ている前で行われました。
菊之助の父、清左衛門は最初、菊之助に斬りかかったところ作兵衛が菊之助を庇って清左衛門ともみ合ううちに刺してしまい、その場から逃げ去ったので菊之助が仇討ちをしようと江戸へ。
といういきさつで、菊之助は本心では作兵衛を慕っていたのに、なぜ仇討ちをするに至ったかが第一の読みどころです。
その二年後、菊之助の縁者を名乗る侍が森田座を訪れ、そこで働く人々に仇討ちの詳細を尋ねにきます。
六章に渡って、それぞれの登場人物が語ります。
芝居小屋に倣って第一幕は木戸芸者の一八(いっぱち)。次に殺陣の指南をしている与三郎、衣装係のほたる、小道具の久蔵さん、そして筋書きの金治さん。
江戸の芝居小屋の面々は皆、あたたかいこころの持ち主ばかりでした。そのひとつひとつの家族らとのエピソードがいいのです。
苦手な時代小説でしたが、評判がよいので読みました。
芝居小屋、他の人々のキャラクターが皆、素晴らしいと思いました。
ラストシーンはそういうあだ討ちだったのかと納得しました。これ以上ない最高のあだ討ちでした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年5月23日
- 読了日 : 2023年5月23日
- 本棚登録日 : 2023年4月29日
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コメント 2件
みんみんさんのコメント
2023/05/23
まことさんのコメント
2023/05/23