シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社 (2005年11月10日発売)
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本棚登録 : 284
感想 : 16
5

ここまで徹底して過剰で狂っている小説は初めてかもしれない。「八月」の強烈な美文から始まり、幻想というよりも幻視に近いメモリを正確にひとつずつ刻むような(そのひとメモリの間を顕微鏡で覗くととんでもなく色彩豊かで豊穣)描写に引きずられる。たった一言でも読み逃したら迷子になる。ポーランド・アヴァンギャルド三銃士とか言われているらしいが、アヴァンギャルドとかいう次元超えてます。
「マネキン人形」「疾風」ではヘーゲルのようなことを言っていると感じた(でも狂ってる。そして私はヘーゲル読んでないからアガンベンからの孫引き)。
とにかく衝撃的な読書。「春」とか本当、読んでいるうちに気がどうにかなるんじゃないかと思った。
「八月」「肉桂色の店」「疾風」「あぶら虫」「大いなる季節の一夜」「書物」「父の最後の逃亡」が特に気に入った。「八月」は読んですぐ再読した。衝撃の出会い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2015年3月16日
読了日 : 2015年3月16日
本棚登録日 : 2015年3月16日

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