陰陽師 酔月ノ巻

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年10月31日発売)
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本棚登録 : 521
感想 : 71
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季節感がある書き出しに時間の流れを感じつつ、晴明と博雅のやりとりにどこかでこの時間が永遠に続くのではないかとも思ってしまう感覚。
いつもの「陰陽師」です。
「銅酒~」や「桜闇~」「牛怪」「めなし」など、男女間のやりとりから派生する奇怪な出来事は勿論面白いのですが、どちらかというと自分はそういった男女の心の機微のお話より普通になんのひねりも無く不思議な話を読みたい派なので、今回は「新山月記」「望月の五位」「夜叉婆あ」などがお気に入りです。特に「新山月記」の朗々と聞こえる漢詩を吟ずる声に受ける侘しさみたいなものや「夜叉婆あ」の子供に対する親の愛情の描かれ方など、誰でも作中の登場人物の誰かしらに近い感情を持った事があるのではないかと思います。あとはは望月の五位が想像するとちょっとシュールで可愛いです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年3月3日
読了日 : 2013年3月3日
本棚登録日 : 2013年1月8日

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