人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する

  • インターシフト (2015年9月28日発売)
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身の回りのモノと科学の力
2015/11/15 3:30 朝刊
 「材料科学」というと地味でとっつきにくい印象を受けるかもしれない。しかし、テーブルは金属やプラスチック、本は紙、住居はコンクリートやガラスでできているなど、身の回りには科学の力で優れた性質を持つようになった材料であふれている。本書は日々の生活でお世話になっている10の材料を例に取り、生い立ち、改良の歴史、進歩の可能性などをわかりやすく解説する。

 まずくて口にできないカカオの種が、いかにして世界の人を魅了する味わいをもつチョコレートという食べ物に変身するのか。どんな化学反応が決め手になるのか。砂粒に多く含まれる石英から作られるガラスはなぜ透明なのか。強化ガラスはどのような物理現象を応用して開発され、銃弾をも食い止めるまでに進化したのか。
 種明かしで化学式なども時折登場するが、難解さを感じさせないのは著者自身の経験に基づいて物語を展開しているからだろう。高校時代にカミソリの刃で背中を切られた経験をきっかけに、材料に興味をもった。以来、金属材料に関心を抱きジェットエンジン用の合金の研究で博士号を取得したという。未来にはまだまだ面白い材料が登場し、人生をもっと豊かにしてくれるかもしれない。そんな期待を抱かせる。松井信彦訳。(インターシフト・2100円)

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感想投稿日 : 2015年11月15日
本棚登録日 : 2015年11月15日

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