著者は冒頭で「学生食堂でご飯なんか食べていたら、プルーストはわからないよ」と言って大顰蹙を買った学生のことを引き合いに出して、返す刀で「電車に乗って通勤している人にはクラシックはわからない」「トヨタ車に乗って満足している人にはクラシックはわからない」と言い切ってしまう。
裕福な生活の中で作曲され、裕福な暮らしの人に供された音楽は、そのような環境で楽しまなければわからないという訳だ。
そんな視点から香港・オーストリア・イタリア・ドイツ・フランス、そして青森県の六ヶ所村の音楽ホールと、オーケストラ/オペラとレストランについて語った一冊。
常に上から目線で語り下ろす口調はあとがきで書いているようにわざと嫌味で書いており、それは大成功を収めてページを繰る度に「そういうお前は何様のつもりだ」と思わずにいられなかった訳だが、書かれた内容なさておき、著者の言いたい「贅沢なクラシックの味わい方」は読み取れた気がする。
その上で、著者の様に世界中のオーケストラを聞きまくって見えてくる風景も当然あるとは思うが、それはいささか品がないようにも思えた。
年に数回、各地の演奏を聴くのもいいが、地元のオーケストラ(でもオペラ団でも劇団でもよい)の水準を知りつつも長くそれを支援し続けるのも贅沢な味わい方じゃないだろうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年7月24日
- 読了日 : 2012年7月24日
- 本棚登録日 : 2012年7月24日
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