ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと (新潮文庫 お 113-1)

著者 :
  • 新潮社 (2023年4月26日発売)
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プナンの人々との生活のなかで、私たちが当然とか、美徳としている価値観をあらためて問い直すところが面白い。

「ここまでのところ、反省することと、反省しないことに関して、学問の中で何が論じられてきたのかを調べることで、何が分かったのかというと、けっき、今の時点では、何も分かったとは言えないのである。情けないことである」

プナンの人々が感謝や反省をしないことについて、でも、そうした社会が機能している事実が面白い。

反面、我々は、よりよい社会と願いながら、どんどんと病んでしまっている。
便利でありながらも、不満が消えることはない。

そうした根本を見つめると、自分と他人の境界線を、もっと曖昧に保つような。
つまりは、皆で生きていくことがベースにある生活に、ヒントが隠されているようにも思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2023年
感想投稿日 : 2023年5月28日
読了日 : 2023年5月28日
本棚登録日 : 2023年5月28日

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