ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業〔下〕(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (ハヤカワ文庫 NF 379)

  • 早川書房 (2012年2月9日発売)
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感想 : 43
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上巻を読んでから随分経つので、またイチからだったのだけど、とても刺激的で面白い議論が展開されていく。

私が生きることと哲学は切り離せない。

偶然、今日読んだ本の中でも、まさに東京大学で交わされたような、日本人が戦争中に起こした過ちについて謝り続けるべきか?というテーマが論じられいた。

私が培ってきた思想や価値観、つまり考えの土台となる部分はこの国の教育が成したものだ。
私のアイデンティティの少なからずは日本的なものと結び付いているし、離れたいとも思わない。

この意味でコミュニタリアンの言わんとすることに重なる部分もある。

例えば自分の家族が過ちを犯したとして、私にその責任を負う義務があるのだろうか。
親の育て方だとか、犯罪者の家族だとして後ろ指をさされ続けることは、是としなければいけないのだろうか。

後半の結婚という社会的承認のことも、考えさせられる。

結婚が、生殖を目的としたものであるなら、男女間での結婚以外は認められないのか。
また、宗教的信念が交わるのであれば、結婚という制度そのものを、国の手から離すことは可能だろうか。

「私には、他者を深く考え、関与していくことは、多元的な社会にはより適切でふさわしい理念のように思える。私たちの道徳的・宗教的な意見の相違が存在し、人間の善についての究極的な多元性が存在する限り、私たちは道徳的に関与することでこそ、社会の様々な善を、より深く理解できるようになると思える」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021年
感想投稿日 : 2021年2月28日
読了日 : 2021年2月28日
本棚登録日 : 2021年2月28日

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