たそがれてゆく子さん (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2018年8月17日発売)
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感想 : 24
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"夫のことは、死んじまえと何回何十回思ったかわからない。でもほんとに死んじゃったら、これがぽっかりと空虚なんだ。"
"生きているうちに大切にしとけということではない。まったくそういうことではない。
自分が生き延びるほうが優先事項だ。相手の言うままずるずると生きていったら、自分の人生なんかゴウもなくなる。相手のことなんか足蹴にして生きていいのだ。
それでも、死なれると、ただ、寂しい。"(p.59)


"ああ、食べるって、ただおなかを満たすだけじゃない。人との関わりだ。つながりだ。仏教でいったら縁起なのだ。"(p.63)


"父が死に、夫が死んで、もうだれもあたしを怒鳴らない。
平穏である。
もう二度といやだ。怒鳴られるのは。"(p.89)


"でも今は、捨てたい捨てたい捨てたい。捨て身で捨てたい。捨てきりたい。こう思うのは、もう捨てて困るものが何もないからかも。"(p.113)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021
感想投稿日 : 2021年1月25日
読了日 : 2021年1月25日
本棚登録日 : 2021年1月25日

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