たたかう植物: 仁義なき生存戦略 (ちくま新書 1137)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年8月5日発売)
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強い植物が侵入してこないような条件の悪い場所こそが雑草の棲み処。除草されたり踏まれたりする逆境こそが雑草の生存のために必要な場となる。雑草は毟られても地面の下には無数の種を準備している。一般に植物の種子は土の中にあるので、光があると芽を出さない。ところが、雑草の種子は逆で光が当たると芽を出すようになっている。即ち除草により種子に光が当たるということは、人間が草を毟って周囲に植物がなくなったことを示す合図。雑草の種子はこれをチャンスと捉え我先に芽を出し光を独占するのである。雑草にとって逆境は耐えることでも、克服すべきものでもない。寧ろ順境。逆境を順境として活かしきっている。光を奪い合い水を奪い合いながら、植物同士、あるいは、環境や病原菌、昆虫、動物たちと戦い続けてきた植物。静かで熾烈な戦いに自然界の冷徹な弱肉強食、適者生存の理を見る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2015年12月2日
読了日 : 2015年12月2日
本棚登録日 : 2015年12月2日

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