穂高さんの作品は初めてです。
バス事故で奇跡的に一人だけ生き残ったというのは、
普通は周りの人から見ると生きてこられたのだから良かったことと思われがちです。
けれどそれは初めだけで日に日にそんな思いは違っていき、自分の心が事故のせいで癒えていないのにあれこれと色眼鏡や腫れ物に触るような行動になっていくのが怖いなと思いました。
それなのに千春は自分の本音を言うこともせず、
苦しんで自分が生きていることが罪でないかということが読んでいて辛かったです。
千春が主役なのに千春の視点からでは描かれていなくて
他の人達の視点から描かれていることで、
千春の気持ちが分かるという不思議な描き方が良かったです。
千春が苦しみながらも徐々に一歩を歩み出していくところが、
自分が何かつまずいた時にそっと後ろから
押してくれているような温かみを感じました。
血は水よりも濃いというのもこの作品でよく描かれていて、弟の行動は共感できて尊敬できました。
同じような経験をした久住の行動も良かったです。
やはりこうゆう時には身近に分かり合える人がいるというのは心強いなと思いました。
重いテーマなのにとても読みやすく心が痛んでしまってもこれから頑張ってみようと思える心温まる作品でお勧めです。
『月のうた』、『かなりや』も同じように良い作品らしいので、これをきっかけに読んでみたいと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年8月5日
- 読了日 : 2014年8月5日
- 本棚登録日 : 2014年8月5日
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