インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2013年8月21日発売)
4.02
  • (15)
  • (22)
  • (10)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 279
感想 : 24
3

吐き気を催す邪悪。
十六世紀におけるスペインのキリスト教徒が南北アメリカ及び中南米で行った殺戮の記録。修道士ラス・カサスがその虐殺を本国の王に伝え、やめさせるよう書き連ねた。
海からやって来たスペイン人たちを、心から歓待したインディオ。スペイン人たちはその彼らを切り刻み、殺害し、苦しめ、拷問し、破滅へ導いた。彼らが持つ金が欲しかったがために。
例えば人口三百万のエスパニョーラ島は殺戮が行われた後インディオは二百人に、人口五十万のバハマ諸島は、十一人にまで減っていた。
インディオを奴隷として船に積み、水も食料も与えず、死ねば海へ捨てた。その後ろを行く船は、死体を追うだけで海図も羅針盤もなしに航海を続けられたという。
また、インディオを兵士として使い、食料を与えない代わりに敵の体を食べる許可を与えた。スペイン人たちにとっては敵でも、インディオたちにとっては同族であるのに。
それぞれの地域の領主や王に対しても暴虐な扱いがなされ、けれど敬意が表され彼らには絞首刑が行われた。ということはつまり、敬意を表されなかった普通のインディオにはそれ以上の惨たらしい殺され方をしたということであり……。
おぞましい一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年1月26日
読了日 : 2021年1月26日
本棚登録日 : 2021年1月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする