インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫 青427-1)

  • 岩波書店 (2013年8月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784003580011

みんなの感想まとめ

人間の内に秘められた「獣性」を鋭く描写した本書は、スペインによるインディアス支配の残虐行為を詳細に記録した報告書です。ラスカサス司祭がフェリペ皇太子に宛てたこの文書は、加害者の視点から見た戦争の現実や...

感想・レビュー・書評

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  • 決して簡潔な報告ではありません。おぞましい侵略の報告です。

  • インディアスの人々は悪意や二心を持たない。きわめて恭順で忠実な民。謙虚で辛抱強く温厚でおとなしく、争いや騒動を好まない。口論したり、不満を抱いたりすることもなく、怨みや憎しみ、復讐する気持ちを抱くこともない。インディアスの人々は身体が細くて華奢で、ひ弱なため、重労働に耐えられず、病気に罹るとたちまちに死んでしまう。キリスト教徒(スペイン人)はそうしたインディアスの人々を男女・子ども合わせて1200万以上、残虐非道な形で殺害した。インディアスの人々の方からキリスト教徒に害を加えたことは一度もなかった。インディアスの人々に神の存在を知らせ、キリスト教に導く絶好の機会だったのに、彼らから救いの光を奪ってしまった。カルロス5世陛下がこれら悪事を根絶され、神が陛下に授けられた新世界を救済なさることを期待する。ラス・カサス
    ※虐殺のあった地域。エスパニョーラ島(現ハイチ&ドミニカ共和国)、ジャマイカ、キューバ、ユカタン、グアテマラ、ニカラグア、ベネズエラ、ペルーなど。

    **以下、閲覧注意**

    首枷をはめて重い荷物を背負わせ、疲れたり気を失ったりすると、鎖を外すのが面倒なので、首筋辺りに剣を振り下ろし首を刎ねた。大勢の人の両手を切断し、それを縄に括り、横にわたした長い棒にぶら下げた。棒には70組の手がぶら下げられていた。大勢の女性や子どもの鼻を削ぎ落した。人々を殺してはその肉を猟犬のエサとして互いに売買した。

    子どもや老人だけでなく、身重の女性や産後間もない女性までも、見つけ次第、腹を引き裂き、身体をずたずたに斬りきざんだ。母親から乳飲み子を奪い取り、その子の足をつかんで岩に頭を叩きつけたキリスト教徒もいた。絞首台を組立て救世主と12名の使徒を称え崇めるためだと言って、13人ずつ1組にして絞首台に吊り下げ、足元に薪を置き、それに火をつけて彼らを焼き殺したキリスト教徒もいた。ある邪悪なキリスト教徒はひとりの娘を犯そうと思い、彼女を無理やり連れ去ろうとしたが、母親が娘の手を放さなかった。すると彼は剣で母親の手を切り落とした。しかし娘は言いなりなろうとしなかったため、娘を剣でめった突きにして殺した。

    ラス・カサス『インディアスの破壊についての簡潔な報告』1552

    ***********
    日本。豊臣秀吉、九州平定の折、キリスト教徒が九州で寺社の破壊や日本人の貧民を奴隷にして海外に売りさばいていることを知る。同年、キリスト教宣教師追放令を発布、キリスト教の布教を禁止。カトリック信者26人を見せしめに火炙りにした。1587

    高知にスペインの軍船(ガレオン船)が漂着。スペインの軍船の水先案内人が口を滑らせてこう言った。「スペイン国王はまず宣教師を現地に送り込んで布教させ、つづいて軍隊を送り込み、多くの国を征服してきた」。サン・フェリペ号事件1596

  • 人はケダモノ同様の「獣性」を内在しているということを嫌というほど見せられた。。

    生命は「永遠」であることと、宇宙に「法」があることを信じたい。

  • ラスカサス司祭がフェリペ皇太子に向けて綴った報告書。これでもかという程、インディアス支配におけるスペイン人の残虐行為が記述される。エリアを変え、加虐者を変え記録された報告だが、行為の中身は殆ど変わらず、アッサリと読めてしまう。今から500年以上前に実際にあっただろう史実だ。当然、政治的作為にも注意して読まねばならないが、原住民の人口減は事実であり、それがウィルスに因るものもあるにはせよ、支配欲により暴力が暴走した事も事実だ。原始社会に近い程、支配欲は暴力によって成し遂げられる。だからこそ、国家概念や警察機能と法整備が必要だが、国家の相互承認が得られるまで、民族や領土をまたぎ秩序を保たんとしたのは宗教であるべきでは無かったか。しかし事態は逆であり、宗教が支配に利用された。
    目を覆いたくなるような報告。是非、目を通して欲しい。

  • 「インディアスの破壊についての簡潔な報告」
    https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51884921.html

  • 戦争には必ずと言っていいほど略奪、強姦、暴力が発生しますが、それを加害者側の視点から詳細に記録した貴重なものだと思います。
    特に訳者の解説による著者の改心と倫理観から王室内の主導権争いが知れて大変面白いと思います。

  • こんな恐ろしい歴史は見たことがない。相手を人だと思わなければどこまでも残酷になる。

  • 16世紀の大航海時代におけるスペイン人のひたすら残酷なアメリカ侵略というか、今でいうならジェノサイドの状況について、キリスト教伝道師ラス・カサスが国王に報告し、その改革を促したもの。

    延々とつづく極悪非道な描写は、事前の想像をはるかに超えるもので、この本の記述によると2,000万人以上のインディオスが虐殺されたことになる。

    人数については、やや誇張気味の傾向はあるようだが、全くおかしいというわけでもなく、1,000万人以上が亡くなったのではないかという推計もあるようだ。

    近年の歴史的な研究では、インディオスの死はかなりの部分、ヨーロッパ人が運んできた疫病(ヨーロッパ人は免疫がある)によるものとされているが、この報告ではインディオスの死者は全て虐殺によるものという書き方になっている。

    当時の知識、そしてインディオスの虐殺や奴隷化の禁止を訴えるという本書の目的からするとそれは仕方ないことなのかもしれない。疫病もスペイン人が侵略せず、インディオスを強制労働させなければ、ここまで深刻化しなかっただろうと考えることができるし。

    つまり、スペインによるラテンアメリカの侵略は、ナチスのホロコースを凌ぐジェノサイドであった可能性が高いということになる。

    残虐行為の記述の連続に読み通すことがなかなかつらい気持ちになったが、これらの人非人な行為については、だんだんと必ずしも誇張ではなく、おそらくそうしたことが起きたんだろうなと思えてくる。なぜならば、ここに書いてあるような行為は、ホロコーストの記録などでも出てくるからだ。

    そして、こうしたことは、第二次世界大戦後、そして現在進行形でも繰り返されているわけで、人間という存在の持つ底知れぬ残酷性を改めて感じる。もちろん、こうした状況の中でも、それに対抗するラス・カサスのような人物も現れるし、さまざまな形で抵抗、抗議する人もいるという希望は常にある。

    これは人類の残虐性に関する記録であるだけでなく、16世紀にヨーロッパが世界に進出する中で生じた資本主義という世界システムの起源でもある。このシステムの始原には、マルクスのいう原始的蓄積として、こうした残虐が行為がなされたということ。そして、そこにはレイシズムが存在していたということが身に沁みた。

    スペイン人がインディオスを虐殺、あるいは奴隷化し、金や財宝を収奪したというこの本に描かれた世界の後、黒人をアフリカから連れ出し、生かさず殺さずの奴隷労働がシステム化されることになり、原始的蓄積が進むことになる。

    スペイン中心の世界システムは、徐々にオランダやイギリスに移っていく過程で、それらの国において、反スペインの運動にこの本は利用されるわけだが、スペイン後の世界システム、つまり帝国主義において、残虐性がどの程度改善したのかは、よくわからない。

    歴史的な正確性を求めてはいけないが、この本はいわば資本主義の原罪を記録した歴史的文書として、ある意味、今、私たちがいる世界を考えるための必読書だと思う。

  • コロンブスによるアメリカ大陸の発見後、キリスト教化を名目に多くのスペイン人が入植した。その中の一人、スペイン人宣教師ラス・カサスは現地でスペイン人による凄惨な虐殺を目撃する。本書はラス・カサスがその事実を告発するために記録したものである。

    まず何よりも、ここに記されている記録はあまりにもおぞましい。老若男女を問わず行われる凄惨な暴力と拷問、人を人とも思わない数々の行為は、時代が数百年違うとはいえ、ここまで残酷なことができるのかと恐ろしくなる。しかし、それが人間の現実なのだろう。2024年の現在でもリアルタイムで虐殺が起きており、SNSで子どもの死体がタイムラインに流れてくることを考えると、その恐怖は現代にも通じるものがある。

    ちなみにアメリカでは、多くの州でコロンブスデーが廃止され、『先住民の日』に置き換えられている。今やコロンブスは侵略や虐殺、奴隷制による搾取のきっかけを作った人物と見なされており、偉人としての扱いはされていないようだ。

  • 銃・病原菌・鉄に出てきたので、図書館で見つけて読んだ。なぜか「戦争は女の顔をしてていない」に続けてハードなものを読んでしまった。ショッキングすぎるので心に余裕があるときでないと勧めない。

    なんでこんなひどいことができるのか理解出来ない。
    征服者側からしたって、わざわざここまでしなくたって効率よく利益を享受する手はあったんじゃないか。
    そもそもゴロツキが派遣されていたのだろう。
    宣教という名目があって良心的な修道士がいただけ救いだ。
    魂の救済という言葉が白々しく感じられる

    虐殺と並ぶ程度に、布教が道半ばに終わったことが罪だとされているかのような記述が気に入らない

    これを読み終わってもう一度銃・病原菌・鉄を読もうかとも思う。

  • 大航海時代にスペイン人が南北アメリカ大陸に進出し、インディアスを虐殺し文明を破壊し尽くしたことことを簡潔に記した報告。

    この作品のなかには
    ①西洋社会による他文明社会に対する蔑視
    ②略奪することで財を形成を目指す、大航海時代の性格
    ③キリスト教がもつヒューマニズムが忘れられ、異教徒に対する激しい敵対意識

    →歴史的には反スペイン勢力(プロテスタント勢力、オランダ)などで盛んに宣伝されたことが解説に記載されているが、「キリスト教徒が異教徒に対して虐殺・略奪を繰り返した」という点は意図的に抹消されたという。
    いま、植民地主義に対しての激しい反発(コロンブスに対する否定的評価など)が観察されているが、本書を読むと反発する側の心情も分かる。

  • 人間がここまでの残虐性を秘めていることが恐ろしい。

  • 吐き気を催す邪悪。
    十六世紀におけるスペインのキリスト教徒が南北アメリカ及び中南米で行った殺戮の記録。修道士ラス・カサスがその虐殺を本国の王に伝え、やめさせるよう書き連ねた。
    海からやって来たスペイン人たちを、心から歓待したインディオ。スペイン人たちはその彼らを切り刻み、殺害し、苦しめ、拷問し、破滅へ導いた。彼らが持つ金が欲しかったがために。
    例えば人口三百万のエスパニョーラ島は殺戮が行われた後インディオは二百人に、人口五十万のバハマ諸島は、十一人にまで減っていた。
    インディオを奴隷として船に積み、水も食料も与えず、死ねば海へ捨てた。その後ろを行く船は、死体を追うだけで海図も羅針盤もなしに航海を続けられたという。
    また、インディオを兵士として使い、食料を与えない代わりに敵の体を食べる許可を与えた。スペイン人たちにとっては敵でも、インディオたちにとっては同族であるのに。
    それぞれの地域の領主や王に対しても暴虐な扱いがなされ、けれど敬意が表され彼らには絞首刑が行われた。ということはつまり、敬意を表されなかった普通のインディオにはそれ以上の惨たらしい殺され方をしたということであり……。
    おぞましい一冊。

  • 酷すぎる話で、これにより中南米は無茶苦茶にされ、その影響は今に及んでいると理解すべきだと思う。
    それでもこういう話は例えば日本の安土桃山の末期にもあっただろう。
    つまり、罪を犯した人間の子孫は、いつまでもその責を負わざるを得ないのだと。何で、いつまで私達が対応しないといけないのか?という疑問ももっともなようで、でもやはりそれに値する重罪を犯したんだ、ご先祖さまたちは。過去からの恩恵も罪も背負ってこその現在なんだと。

  • 残酷すぎて一度挫折。再チャレンジし読了。一度で済ませればよかったと思うほど残酷さに慣れない。インディオを人間として認識していなかったんだろうと思うけれど、それはアジアもアフリカも同じ認識だったんだと思う。怒りを覚えるだけでなく、こういうことを知らずして海外赴任したりヨーロッパに憧れたりしていたことを反省する。歴史は政治で書き換えられることも多くあるので、妄信にも注意が必要だと解説を読んで襟を正した。

  • 大航海時代の幕開けから半世紀後、スペイン人征服者たちがインディオに対して行っている殺戮と搾取の実態を暴露。歴史的背景や文献学的考察など、詳細な解説つき。

    ありえないです。ひどすぎます。

  • いままで読んだ本で2番目に恐ろしい本だった。(1番目は『1984』だ)

    ラスカサスが「報告」という形でスペイン人無法者(ティラーノ)の蛮行を書く。中世的世界観が見え隠れしつつも、客観的に報告しようとしているのがわかる。どの時代においても、ラスカサスのような自己批判の能力をもつ人材は貴重だ。現代でいえば優秀なジャーナリストか。

    この本は島ごとに行われたことを描写していくが、基本的にはどの島でも同じことが行われた。美しい自然と調和して暮らしていた原住民を殺し、奴隷として酷使する。美しい自然やまちなみは破壊された。畑は荒れ果てた。神殿も破壊され、彼らの文化も破壊されたのだろう(ラスカサスは司教なので、原住民の宗教や文化の破壊は触れられていなかった、これはヨーロッパ的宗教や文化が至高だと考えていたからだろう)。

    歴史は繰り返す。この悲惨な体験が、どれほど繰り返されたことか。時空を超えて、訴えかけてくるものがある。

    読み終わって、「ヨーロッパ人はなんと恐ろしいやつらだ。日本はヨーロッパから離れていたから助かった」などと考えた。たしかに、ヨーロッパ人ほど野蛮な奴らはいないと思う。しかし、我々日本人だって、この「ヨーロッパ人」の生き残りだとも言える。他人事ではあり得ない。


    この話を読んで、手塚治虫の言葉を思い出した。手塚治虫は、「想像力が足りない」と嘆くだろう。

  • 時はコロンブスの新大陸確認から大航海時代。カリブ海の島々や中南米にやって来た征服者たちの残虐性からインディオを保護するために司教が書いた報告書。現代人の感覚からすれば狂気とも思われる行為が横行している。昔の話だからと言いたいが世界大戦時にも残酷なことはたくさん行われていた。僕の感覚はただ傍観者の無責任で聖人ぶっているだけなのだろうかと考えてしまう。あと、リーガエスパニョーラでのバナナの一件があった後なだけに、情熱的なのは盲目的でもあり良い方向にもその逆にも突っ走る恐れがあるなあとか考えさせられた。

  • 新大陸(中南米)のあちこちでスペイン人がひどいことをした話が述べられているが、簡潔でないし緻密さにも欠けるので退屈。それよりも巻末に70ページもある訳者解説がわかりやすくてよかった。当時のスペイン王室のおかれた国際状況や、ラス・カサスとセプールベダの宮廷内での争いや、後世の反スペイン政治運動に何かと本書が使われてきたことなど。あんな滅茶苦茶な新大陸征服にも一応理論的正当性が必要だったのは意外。

  • これがキリスト教の本質。異民族は人として扱わない。イエスの思想とどれだけ乖離していることか。そして現在も本質は同一であり、末端の信徒はお気の毒としか言いようが無い。

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