インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)

制作 : 染田 秀藤 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 101
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003580011

作品紹介・あらすじ

キリスト教化と文明化の名の下に新世界へ乗り込んだスペイン人征服者によるインディオの殺戮と搾取-。残虐非道が日常化した植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した植民地問題の古典。十全な解説を付した改訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • ラスカサス司祭がフェリペ皇太子に向けて綴った報告書。これでもかという程、インディアス支配におけるスペイン人の残虐行為が記述される。エリアを変え、加虐者を変え記録された報告だが、行為の中身は殆ど変わらず、アッサリと読めてしまう。今から500年以上前に実際にあっただろう史実だ。当然、政治的作為にも注意して読まねばならないが、原住民の人口減は事実であり、それがウィルスに因るものもあるにはせよ、支配欲により暴力が暴走した事も事実だ。原始社会に近い程、支配欲は暴力によって成し遂げられる。だからこそ、国家概念や警察機能と法整備が必要だが、国家の相互承認が得られるまで、民族や領土をまたぎ秩序を保たんとしたのは宗教であるべきでは無かったか。しかし事態は逆であり、宗教が支配に利用された。
    目を覆いたくなるような報告。是非、目を通して欲しい。

  • 大航海時代の幕開けから半世紀後、スペイン人征服者たちがインディオに対して行っている殺戮と搾取の実態を暴露。歴史的背景や文献学的考察など、詳細な解説つき。

    ありえないです。ひどすぎます。

  • いままで読んだ本で2番目に恐ろしい本だった。(1番目は『1984』だ)

    ラスカサスが「報告」という形でスペイン人無法者(ティラーノ)の蛮行を書く。中世的世界観が見え隠れしつつも、客観的に報告しようとしているのがわかる。どの時代においても、ラスカサスのような自己批判の能力をもつ人材は貴重だ。現代でいえば優秀なジャーナリストか。

    この本は島ごとに行われたことを描写していくが、基本的にはどの島でも同じことが行われた。美しい自然と調和して暮らしていた原住民を殺し、奴隷として酷使する。美しい自然やまちなみは破壊された。畑は荒れ果てた。神殿も破壊され、彼らの文化も破壊されたのだろう(ラスカサスは司教なので、原住民の宗教や文化の破壊は触れられていなかった、これはヨーロッパ的宗教や文化が至高だと考えていたからだろう)。

    歴史は繰り返す。この悲惨な体験が、どれほど繰り返されたことか。時空を超えて、訴えかけてくるものがある。

    読み終わって、「ヨーロッパ人はなんと恐ろしいやつらだ。日本はヨーロッパから離れていたから助かった」などと考えた。たしかに、ヨーロッパ人ほど野蛮な奴らはいないと思う。しかし、我々日本人だって、この「ヨーロッパ人」の生き残りだとも言える。他人事ではあり得ない。


    この話を読んで、手塚治虫の言葉を思い出した。手塚治虫は、「想像力が足りない」と嘆くだろう。

  • 請求記号:B2115/255
    資料ID:50071945
    配架場所:図書館階西館1F文庫
    【感想文 byS .H】
    人道的理念をなくした人が、法の及ばない地の住人をこうも残酷に虐殺できたものだと思える。この本を読んで両親を絞めつけられない人はいないでしょう。先の大戦の残酷さと人々の過ちは嫌でも知れるが、このように歴史の闇へと消えゆく原住民の大量虐殺の歴史は人間の内心に迫る重要な資料でもある。自国民の告発という偉業を行った著者の行為は過去の負を背負っている日本人にも見習える偉業であると思えます。

  • 時はコロンブスの新大陸確認から大航海時代。カリブ海の島々や中南米にやって来た征服者たちの残虐性からインディオを保護するために司教が書いた報告書。現代人の感覚からすれば狂気とも思われる行為が横行している。昔の話だからと言いたいが世界大戦時にも残酷なことはたくさん行われていた。僕の感覚はただ傍観者の無責任で聖人ぶっているだけなのだろうかと考えてしまう。あと、リーガエスパニョーラでのバナナの一件があった後なだけに、情熱的なのは盲目的でもあり良い方向にもその逆にも突っ走る恐れがあるなあとか考えさせられた。

  • 新大陸(中南米)のあちこちでスペイン人がひどいことをした話が述べられているが、簡潔でないし緻密さにも欠けるので退屈。それよりも巻末に70ページもある訳者解説がわかりやすくてよかった。当時のスペイン王室のおかれた国際状況や、ラス・カサスとセプールベダの宮廷内での争いや、後世の反スペイン政治運動に何かと本書が使われてきたことなど。あんな滅茶苦茶な新大陸征服にも一応理論的正当性が必要だったのは意外。

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    カバーから:1542年に書かれたこの『簡潔な報告』は、キリスト教と文明の名の下に新世界へ馬を駆って乗り込んだ征服者=スペイン人たちによる搾取とインディオ殺戮が日常化している植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した。形態は変貌しつつも今なお続く帝国主義と植民地問題への姿勢をきびしく問いかける書である。

  • これがキリスト教の本質。異民族は人として扱わない。イエスの思想とどれだけ乖離していることか。そして現在も本質は同一であり、末端の信徒はお気の毒としか言いようが無い。

  • キーが重い。気安く書くわけにはいかないためだ。私がもたもたしているうちに改訳版が刊行されていた。タイトルが広く知られていると、「ま、いつでも読めるよな」とか「今更俺が読んでも……」などと思いがちだ。挙句の果てには「読んでしまった」ような錯覚に至ることもある。ソクラテス、トルストイ、ドストエフスキー、夏目漱石……そして岩波文庫だ。

    http://sessendo.blogspot.jp/2013/11/blog-post_64.html

  • ・大航海時代のカリブ海諸島で、スペイン人が先住民インディオに対して行った様々な迫害の記録。

    ・「簡潔な報告」という題名とは裏腹に、著者は「これでもか」というくらい執拗にスペイン人の悪行の数々を書き記す。同じような手口によってインディオがひたすら虐殺される様を描いたこの記録文書を読んでいると、気が滅入ってくるし、もっとハッキリ言ってしまえば辟易する。しかし、これが被征服者ではなく、征服者たるスペイン人自身の手によって書かれたことの意義は大きい。

    ・本書の受容史を論じた訳者解説は興味深い。その残虐さゆえに本書は諸外国によって「横暴なスペイン人」という反スペインキャンペーンの恰好の材料として利用され、それゆえ他方では、著者ラス・カサスはスペイン国内の保守主義者から「売国奴」のレッテルを貼られてしまう。こうして本書があまりにも強い政治的色彩を帯びてしまったために、客観的な学問研究の妨げとなっているという。似たような構造の問題を抱えるわれわれ日本人にとっても、この訳者解説は冷静な知見を与えてくれる。

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