FURY / フューリー [DVD]

監督 : デヴィッド・エアー 
出演 : ブラッド・ピット  シャイア・ラブーフ  ローガン・ラーマン  マイケル・ペーニャ  ジョン・バーサル 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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本棚登録 : 278
感想 : 62
5

『フューリー』がエンタテイメントとして素直に面白い!と言いにくいのは、善良な青年が24時間の間に戦場の異様な体験を通じて文字通り『殺人マシーン』と化すまでの通過儀礼を描いた作品で『フルメタルジャケット』と同種の映画であるからなんだけど、フルメタのような『戦場の狂気』を正面から描いた作品と違うのは『戦争では人間性を失ってマシーンにならないと生き残れない』と語っているとともにラストで『しかし全員がマシーンになってしまったら誰も生き残れ無かった』という戦争の中にある人間性の肯定をも同時に描いている所なんだよね。

そして最後の戦いに赴くフューリー隊の行動は一見『ゼロ戦特攻隊のような平和の為の自己犠牲賛美』にも見えるんだけど、戦場で人間性を失い、償いきれない罪を犯し続けた男達の贖罪ゆえの行動としても捉える事ができて、米国は戦争の意味と犯した自らの罪に対して自覚的に考え悩み続けているよな…と感じる。

『戦争の英雄』は同時に『捕虜を後ろから撃ち殺す狂人』でもあったと描き、人間性を失った英雄達は戦場で自らの命を差し出し玉砕死するしか無かった、しかし後世の人間達は彼らの事を『英雄』として語り継いでしまう皮肉…!

自分にとって『フューリー』はそんな映画に思えた。『戦場の英雄』ってのはつまりそういうことなんだよ…と突き放して描いている部分が日本映画では描けない領域なんだよなぁ。

日本で『フューリー』撮ったらブラピが本国に残した嫁や子供の顔を思い浮かべながら特攻して、新兵を『お前が戦後のアメリカを立て直すんだ』と逃がす映画になるんだろうね…;

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 洋画
感想投稿日 : 2015年7月2日
読了日 : 2015年7月2日
本棚登録日 : 2015年7月2日

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