釜ヶ崎で日雇い労働をして生計を立てる青年、甲坂礼司。ホテル社長の妻の人生を破格の報酬で小説にしてほしいと依頼される。
ドヤ街の労働環境、カルト教団など相当調査をしたと思われるが、描かれる人の気持ちに胸を衝くような感覚は味わえず…。森さんの持ち味ではない部分で「頑張ってる」感じがするからかなと思う。
また礼司の抱える負の面について随所に伏線が仕掛けられているものの、後半それが判明しても膝を叩くような感じではなく無理に盛り込まれたような印象を受けた。(独り立ちして電話したときの父親の反応はリアルで良い)
そんなわけで森作品の中ではもう一声! という気持ちになった本作ですが、好きな描写ももちろん多々あり。特に秀逸なのは結子の爪と滴に美しさと優しさを感じるラストの画。
でも本当のラストは冒頭かも?
最後のページを繰ったら、ぜひ頭に戻ってさらなる希望を感じてほしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年7月17日
- 読了日 : 2012年7月14日
- 本棚登録日 : 2012年7月17日
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