軍事力で平和は守れるのか 歴史から考える

  • 岩波書店 (2023年8月1日発売)
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はじめに
第Ⅰ部 ウクライナから考える
 第1章 ウクライナ戦争はどのようにして起こったのか………南塚信吾
 第2章 NATOの東方拡大は戦争を抑止したのか………油井大三郎
 コラム1 ユーゴスラヴィア紛争からの教訓………山崎信一
第Ⅱ部 近現代世界史の中の戦争と平和
 第3章 どのような戦争が起こってきたか………木畑洋一
 第4章 軍拡が戦争を呼び起こす………山田 朗
 第5章 戦争を許さない世界を求めて………木畑洋一
 第6章 平和を求める運動はやむことはない………南塚信吾
 コラム2 武力で平和は守れない………藤田 進
第Ⅲ部 日本をめぐる戦争と平和
 第7章 日本の戦争から考える──軍事同盟と〈戦争放棄〉………山田 朗
 第8章 東アジアの戦争をどう防ぐか………油井大三郎
 コラム3 「バンドン精神」はどのように継承されているのか………小谷汪之
おわりに 戦争と平和を歴史から考える………木畑洋一

 歴史学研究は現代の戦争にどうアプローチするのか? その一つの答えは、視点を変えること、パースペクティブを広く取ることなのだろう。第1章の南塚は、ウクライナを1980年代以降の「新自由主義」拡大の重要なフロントの一つと位置づけ、独立当初は非核化と中立化を志向したウクライナに対する米国の持続的な干渉と介入という経緯を浮上させる。第2章の油井は、ソ連=ロシアから見たNATOの東方拡大の非連続的なプロセスをたどりなおし、ドイツの統一を可能にした欧州での新たな安全保障枠組みの構想が、米国内の政治状況との相関でなし崩し的に反故にされていったさまを明らかにした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2023年9月8日
読了日 : 2023年9月8日
本棚登録日 : 2023年9月8日

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