本屋さんで待ち合わせ

著者 :
  • 大和書房 (2012年10月6日発売)
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本棚登録 : 2549
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口を開けば、本と漫画の話ばかり。2012年度本屋大賞に輝く著者が本と本を愛するすべてのひとに捧げる、三浦しをんの書評とそのほか。(Amazon紹介より)

作家であり、超が付くほどの読書家でもある三浦しをんさんが、自身の好きな本・感銘を受けた本をひたすら紹介していく書評エッセイです。「まほろ駅前シリーズ」を読んだときにも感じたことですが、この方は影がある人物を描写するのがすごくうまい。その根幹は、この方の独特の読書観にあるのだと思いました。紹介される本のテーマが「ヤクザ」「トランスジェンダー」など、現代の世においてマイノリティで虐げられている存在であることが多く、特に、ノンフィクションや研究書と呼ばれるジャンルにおいてはその傾向が顕著です。それらを愉快なものとして取り込んでしまえるのは、相当な読書経験と自分の世界がないとできないことだと思います。

ちなみに、三浦しをんさんは巻末で読書という趣味について以下のように述べています。すごく共感できるとともに、文調の軽快さも相まって笑ってしまいました。

〝本を読めば人格が磨かれ、知識が深まり、情緒が豊かになるかというと、そうでもないことは我が身で立証済みだ。むしろ、家に籠る時間が多くなるので人見知りになり、脳内でこねる屁理屈だけは立派で、毒にも薬にもならぬ夢想に遊び疲れてさっさと就寝する。そんな人間ができあがる可能性が高い。〟

ひどい言い様です笑
一方で、本というモノについては、

〝本は、人間の記憶であり、記録であり、ここではないどこかへ通じる道である。特別な機械も作法も充電器も必要なしに、時間と空間を超えた異世界へ、私たちを連れていってくれる。〟

と述べており、本と読書への愛情がほとばしっているなぁと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・紀行文
感想投稿日 : 2018年8月26日
読了日 : 2018年8月26日
本棚登録日 : 2013年12月9日

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