用心棒日月抄 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1981年3月27日発売)
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感想 : 174
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藩主暗殺の陰謀を知ってしまった故に許嫁の父を斬り脱藩、刺客に追われる身となった青江又八郎。
江戸の裏長屋に暮らし、用心棒稼業で糊口をしのぐが、浅野内匠頭の刃傷事件からの浅野浪士討ち入りの噂が流布するにつれ、請け負う仕事に浅野、吉良両家の争いの匂いが立ち込める。
10篇の連作は忠臣蔵に関わる浅野浪士の動きと心情をとらえている。

そして青江個人は用心棒生活を続けるうちに時として感じる堅苦しい侍暮らしからの解放感と、そんな暮らしに満足してしまいそうな堕ちていく自分を良しとしないせめぎあいに心を痛める。
許嫁の娘が自分を仇として討ちに来るならば討たれようという気持ちになる理由の一つにはそんな自分の人生を終わらせたいという思いがあるのではないかと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2021年1月9日
読了日 : 2021年1月9日
本棚登録日 : 2020年12月28日

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